女性社長比率は8.4%、過去最高ながら低水準続く 高齢化が止まらず5人に1人が「75歳以上」
業種別では「不動産」が17.4%でトップ、「建設」「製造」は依然として低水準
業種別に女性社長の比率をみると、「不動産」が17.4%でトップだった。続く「サービス」(11.3%)や「小売」(11.1%)といった「BtoC」業種を大きく引き離し、群を抜いて高い水準が続いている。 その他の7業種は全体(8.4%)を下回った。なかでも「建設」は6年ぶりに上昇し4.9%(前年比0.1pt上昇)となったものの、全業種のなかで唯一5%を下回った。次いで「製造」が5.7%で続き、26年連続で「建設」に次いで2番目に低かった。
出身大学は「日本大学」が5年連続でトップ、前年から20%以上の増加は5大学
女性社長の出身大学別では、6年連続で増加している「日本大学」が前年比9社増の286社でトップだった。2020年に当時最多だった「慶應義塾大学」を上回って以降、5年連続でトップとなった。次いで「慶應義塾大学」(266社、前年比11社増)がトップから20社差で続き、「早稲田大学」(239社、同横ばい)も含め上位3大学が200社を超え、それぞれ過去最高の女性社長数だった。その他、「青山学院大学」(181社、同横ばい)や「上智大学」(153社、同2社増)など9校が100社台で続いた。また、女子大学としては「日本女子大学」(135社、同7社減)がトップとなったもののピークから8年連続で減少する結果となった。 前年から最も増加したのは「愛知大学」で、前年比23.8%増となった(今回調査時で20社以上となった大学が対象)。2年連続で2割を上回る増加幅となり、大きく数を伸ばしている。その他、「熊本大学」(同23.5%増、21社)など、上位20校のうち7校が国公立だった。
小幅な上昇が続くと見込まれるものの、数値目標ありきの人材登用に注意
2024年の女性社長比率は8.4%だった。4年連続の上昇で過去最高を更新したものの上昇幅は小さく、依然として1割を下回る低水準にとどまった。帝国データバンクが2024年7月に実施した「女性登用に関する企業の意識調査(2024年)」では、女性管理職の平均割合は前年から1.1pt上昇し、10.9%となり初めて2ケタ台に達した。いずれの調査も「過去最高ながら低水準」であり、小幅な上昇を重ねているものの、目標とされている結果には届いていないといえるだろう。 女性管理職や役員の割合など、あらゆる期間目標が掲げられているなかで、政府は女性起業家の拡大にも注力している。2023年5月に経済産業省が発表した「女性起業家支援パッケージ」においては、ネットワーク構築やマッチング機会の提供のみならず、ロールモデルの創出を目的に「J-Startupにおける女性起業家の割合20%」を目指すことが明記された。J-Startupはグローバル展開を見据えるスタートアップ企業に対する育成支援プログラムであり、女性が挑戦できる機運の醸成を目指した目標となっている。 こうしたユニークな取り組みに加え、人材教育の面では科学技術系の分野に長けたSTEM人材の育成も注目されている。このような、今までは女性活躍が進んでいなかった分野への着手が数多くみられるものの、数値目標の達成を目的とした登用には注意が必要だ。女性活躍は、労働力不足の解消やダイバーシティ促進による経営改善などが主な目的である。今後も女性社長や役員・管理職の割合は緩やかな上昇が見込まれるなか、適材適所の人材登用が求められる。