不信任直後に相次ぎテレビ出演、出直し選への布石と知られざる斎藤知事誕生秘話 混迷・兵庫県知事失職㊤
職員へのパワハラ疑惑や告発文書への対応を問題視され、議会から全会一致で不信任を突き付けられた兵庫県知事、斎藤元彦(46)は26日、失職の上で出直し選に臨むと表明した。 【一覧でみる】兵庫県の斎藤知事が受領を認めた贈答品 前日、メディアの囲み取材が終わった後、高校生から「辞めないで」と激励の手紙を託されたという。「マスコミの皆さんの批判はものすごいが、負けないで屈しないで、とエールを届けてくれた」。目を潤ませて「改革・刷新の継続」を出馬理由に掲げた斎藤。現在の難局は、守旧派の巻き返しと言わんばかりだった。 これまで防戦一方だった斎藤の動きは不信任決議の翌日からにわかに活発化する。NHKをはじめテレビ各局に相次ぎ出演。インタビュアーとの一対一、ノーカットが条件だったという。文書問題について従来の主張を繰り返す一方、「改革を続けたい思いはある」と強調した。出直し選への布石-。ある県議は、斎藤のテレビ行脚にその意図を感じたという。 「本当に知事が職を辞するべきことなのかというのが正直なところ」。一連の問題に対する斎藤の〝本音〟に知事職への強いこだわりがのぞく。その執着の源はどこにあるのだろうか。 斎藤元彦は神戸市須磨区出身。名前は地元の有力者だった母方の祖父が付けた。兵庫県知事を昭和37年から2期務め、祖父と親交のあった金井元彦にあやかった。 愛媛県内の中高一貫校に進み、1年の浪人を経て東大に進学。卒業後の平成14年に総務省に入った。地方自治を所管する同省の官僚は潜在的な知事候補。祖父からはこう激励されたという。「いずれは兵庫に戻り、知事になれ」 県選出の自民党国会議員の元秘書が斎藤と初めて会ったのは10年近く前のこと。斎藤はこの頃からたびたび事務所に顔を出すようになった。党内の情勢、次の総裁選…。「自民は今こうなってるんだよと、私から教えてあげることが多かった。今思えば、野心みたいなものがあったんだろう」。総務省での20年のキャリアのうち地方出向が半分以上。本省勤務の少なさが斎藤の知事志向に拍車をかけた、との指摘もある。 ■自民と維新からの推薦 離れ業か時流か