農産物販促「直売交流課」 JA合併機に新設 直売所・選果場結ぶトラックも
新潟県のJAえちご中越は、2023年2月の4JA合併で誕生した。管内が大阪府並みの広さとなったのを好機と捉え、各地区の特産品を広域に売り込む「直売交流課」を営農経済部に設置した。管内五つの直売場を統括し、140項目のチェックリストを整理。合同フェアなどの展開で、初年度から売上高2億円増などの成果を上げている。 【画像】好評を博した「枝豆マラソン」 海岸沿いから山間部まで、幅広い農地には野菜や果樹の多様な品目が育つ。合併で取扱品目が広がるメリットを、農業者とJA、消費者をつなぐ直売所を通じて生かそうと、同課はブランド力の向上、収支改善、ファンづくりから取り組んだ。 5カ年計画で右肩上がりの成長を目指す「ファン拡大!直売所チャレンジプログラム」を策定した。取り組むべき約140項目をリスト化し、課題や状況を可視化したものだ。 内容は接客などの基本事項から売り場づくり、スタッフの意識改善、出荷者への情報提供など多岐にわたる。 同課の職員が訪問時に進捗(しんちょく)状況をスタッフと共有し、改善策を提案。全店舗の取り組み状況を共有し、店舗間での前向きな競争意識も生まれた。同課の山崎哲央課長は「まずは店舗運営の基本に立ち返り、来店者を増やそうと考えた」と話す。
全店舗で旬の生鮮品
23年9月からは売り場の充実に向け、直売所と選果場を結ぶ物流トラック「ミルクラン」を導入。JAは県内トップクラスの果樹産地を持つが、主産地の三条市や加茂市から、柏崎市のJA農産物直売所「愛菜館」までは約60キロ離れている。全店舗で旬の果実などの生鮮品が販売できるようになり、全域でのPRと認知度向上になった。 長岡市でたかやまきのこ園を営む高山綾子さんは「ミルクラン」の導入で近隣の直売所以外にも販路を拡大。「輸送にかかる負担が大幅に軽減された。販売計画も立てやすくなり、売り上げが伸びた」と話す。 5店舗の合同フェアも展開した。昨夏は、エダマメ購入時に袋に付いているシールを集めると新米の購入時に特典が受けられる「枝豆マラソン」を実施。地域限定の品種もあるため、直売所を巡る買い物客が増加した。 五つの直売所の23年度の売上高は、前年度から10%増の21億1000万円。レジ通過者は同7%増の110万人と、初年度から成果が出始めている。
日本農業新聞