【解説】日銀・大規模緩和維持 能登半島地震の影響は?マイナス金利解除はいつ?
■3月にもマイナス金利解除?
――3月だとどういった理由で? 3月で、早いほうがいいという立場にはこんな説明があります。先ほどお話ししたように日経平均株価が史上最高値をうかがうような展開のなかでマイナス金利を続けることには違和感があります。 次に、今円安がすすんでいるなかFRBやECBが利下げを始めた後の急な為替の変動、円高リスクを避けたいというところがあります。ただこれは、大丈夫だという人もいます。 さらに、市場の関係者で4月解除を予想する人が多くいる中で、4月解除だと市場に催促される、催促相場に追い込まれてしまうという見方があります。
■3月マイナス金利解除の課題は
――3月のほうがいいのではないかという立場だとそうですが、一方で、3月は解除しにくいという見方もありますね。 3月解除は難しいという人の立場は、まず、市場等への説明が十分なされるかということです。日銀の方向性を示す展望リポートは次は4月で、3月にはないんです。丁寧に説明をすることなくマイナス金利解除という政策転換をしていいのかと。ただ、植田総裁は会見で展望リポートがないと政策転換ができないわけではないと、言いました。 次に3月の決算への影響です。マイナス金利を解除しますと円高に向かうとみられるので、為替の含み損などで3月の企業決算の業績に悪い影響が出る可能性があります。 さらに解除したところで変動型の住宅金利も上がる方向になるのではないかとの心配があります。時期的に3月に解除すると政府の定額減税が予定されているような6月ごろに実際に金利がアップし、日銀と政府の政策が逆方向に向いてしまうのではないかと心配もあります。 このほかGDPの速報が2月に発表されますし、様々なデータを見ながら3月解除を検討すると思います。
■政策変更への不安定要素
――最近の政治の動揺も、日銀の政策に影響してくるでしょうか? はい、政権との対話は重要です。派閥解消などの今の動きに加え、秋には自民党の総裁選があります。植田総裁は23日、国会議員の補欠選挙の日程は、影響しないと言っていましたが、政治の状況は気になります。 3月4月のマイナス金利解除を逃すと、その先はできないという声もあります。つまり、日本の政治の先行き不透明さ、アメリカの大統領選挙、賃上げも、大企業はよくても中小企業の状況は弱いのではないかと厳しい見方をする人もいます。また、2月に発表される去年10月から12月までのGDP成長率が実質マイナスの可能性などこの先に不安定要素はあります。 今年はあるとみられる金融政策変更が、いつどんな形になるのか、しっかりと注目していきたいと思います。