大学の授業時間が105分に延長、学生にはどんな影響が? 校門前で反対ビラを配った教員も
従来は1コマ90分が一般的だった大学の授業時間を、延ばす大学が増えています。100分に延ばす大学が目立ちますが、さらに長い105分にする大学もあります。一方、こうした動きに異議を唱える教授もおり、「授業時間の長さ」は大学の大きなテーマの一つになっています。(写真=Getty Images) 【写真】90分/105分の授業時間の違い(表=追手門学院大学提供の資料をもとに編集部作成)
2つの問題を一挙に解決
追手門学院大学は、105分授業を2021年度から行っています。なぜ105分にしたのでしょうか。真銅正宏学長はこう話します。 「105分にしたのは、主体的な学びを実現するためです。今までの座学中心の授業とは違う、新しい教育スタイルを模索するなかで、学生が行動して学び、学びながら行動するような、主体的な学びを実現させたいと考えました。そのために授業でディスカッションやプレゼンテーションを取り入れたいと思ったのですが、それには90分では足りません」 授業に加えて、留学やインターンシップなど、大学の外で学ぶ期間も確保したいという狙いもありました。1コマが105分になれば、従来の90分×15週の授業が105分×13週になるので、半期で2週間、1年間で4週間が空きます。夏休みと春休みが増え、学生は留学やフィールドワークなどに行きやすくなります。 もっと長い110分授業にする手もありますが、授業の終了時刻が遅くなりすぎて、課外活動やアルバイトができなくなります。そこでギリギリの数字として決まったのが105分でした。105分授業を採用しているのは、東京大学など他にもあります。
発言することで授業への姿勢が変わる
105分に延ばしたことでどんな変化があったのでしょうか。 真銅学長は、「105分は長すぎて学生が退屈するのではないかと多くの人に言われましたが、教員の工夫によって集中しやすい授業になっています。たとえば、前回の振り返りから授業が始まり、グループワーク、講義、まとめのレポートというように、次から次にやることがあって退屈する時間はありません」と説明します。 真銅学長が重視しているのが、グループワークやプレゼンテーションを授業に取り入れてアウトプットを増やすことです。たとえば、5人グループでプレゼンテーションをするとき、90分授業では4人目までしか発言できませんでしたが、5人目にも順番が回ってくるようになりました。発言することに慣れると、学生の授業への姿勢も変わったそうです。 「今は、ちょっと背中を押してあげるとすごく成長する学生が多い。発言する機会を与えられ、経験することで成長し、授業に積極的に参加するようになります。学年が上がるほど積極的な学生が増えています」