茂木健一郎「不安を乗り越える一番いい方法は…」“不安になったときの対処法”を脳科学の視点でアドバイス
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。 今回の配信では「不安になったときの対処法」に関する質問に答えました。
<リスナーからの相談>
私は4月から新社会人として働いています。日曜日の夜になると明日からの1週間が心配になり、眠ることができなくなってしまいます。 「仕事でミスをしてしまうかもしれない」と、まだ起きてもいないことを勝手に想像して不安になってしまいます。茂木さんが不安になったときにすることや考え方について教えてください。
<茂木の回答>
茂木:まず、「新社会人として頑張っていて偉い!」と最初に申し上げます。不安というのは常々申し上げていますが、脳科学的に言うと不確実なものから来ます。「不安以上に不安なものはない」と英語の有名な言い回しでもあるのですが、不安であるということが不安になってしまうのですね。 どういうことかと言いますと、不安は“正体”が見えないのです。たとえば、モンスターやお化けが出てくる映画ですと、登場前には音や演出で教えてくれますよね。このとき、一番不安なのはモンスターの姿が見えるまでです。出てからも怖いことは怖いのですが、「こんな顔だったのか」と面白くなることもあります。人生における不安とは、そういうものなのですよね。 正体が何も見えないときは「仕事で失敗したらどうしよう」という“モンスター”がどんどん大きくなりますが、もし失敗したとして、どういうことが起こるのかなと想像する。 たとえば、取引先やお客様にすみませんと謝って、そのあとのリカバリーを考えますよね。上司に怒られる場合を考えるなら、席を外して落ち着いたタイミングで同僚に相談する。具体的にアクションを考えたら、案外いける感じがしませんか? 脳科学的に言うと、不安というモンスターを乗り越える一番いい方法は「具体的に考える」ことです。また、必要以上に気にしないことも大切ですよ。ミスや失敗は人を成長させてくれますし、最初からできる人なんていません。 新人の頃にたくさん失敗することで、見えてくるものもたくさんありますので、ぜひ具体的に物を考えて不安というモンスターの退治をしてください。 (「茂木健一郎のポジティブ脳教室」放送より)