梨泰院惨事から2年…残された親たちの悲痛な声=韓国
梨泰院惨事2周忌の遺族口述集 『惨事は路地にとどまらない』
「語らずにはいられませんでした。惨事が隠されて埋もれてしまうのではないかと、それがとても怖かった。私がずっとうごめいていることを知らせたかった」(梨泰院惨事の犠牲者、故キム・サンハさんの母親、シン・ジヒョンさん) 159人の命が星になって2年、その時間を生き抜いた10・29梨泰院惨事犠牲者の母親、父親たちの軌跡を描いた本が出版された。惨事犠牲者の親たちが凄惨だった時間についてを口述し、作家たちがそれを本にまとめた。2年前の惨事を「梨泰院の路地だけにとどまらないようにするための」遺族と市民のもがきだ。 梨泰院惨事2周忌を一週間後に控えた22日、ソウル中区10・29梨泰院惨事記憶疎通空間の「星たちの家」で、『惨事は路地にとどまらない』出版懇談会が開かれた。作家と人権活動家8人が集まった「10・29梨泰院惨事作家記録団」が25人の遺族に会い、惨事後の話を聞いて書いた本だ。昨年記録団が出した『私たちは今梨泰院にいる』は惨事生存者と兄弟姉妹など若者の話を中心としていたが、同書は惨事後に残された両親たちの話を伝える。 本は3部構成になっている。第1部はこの2年間、真相究明と責任者処罰のために必死に闘ってきた家族たちの姿を、第2部は地方や外国にいてこれまで声をあげるのが容易でなかった家族たちの切ない気持ちを、第3部は「路地だけにとどまらない」惨事が繰り返されることを防ぎ、安全な社会を作ろうとする遺族たちの声を盛り込んだ。記録団に参加した作家、チョン・インシクさんは「本のタイトルが主なメッセージと繋がっている。梨泰院惨事を通じて明らかになった私たちの社会の構造的問題が解決されない限り、惨事はその時間その場所だけにとどまらず、その凶暴な姿を再び表わすだろう」と語った。 そうして紫色の表紙で世に出された400ページの本を、遺族は誰に一番先に見せたいだろうか。故イ・ジュヨンさんの父親、イ・ジョンミンさんは「一番最初にこの本を読まなければならない人は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領」だとし、「この国の指導者として国民の痛みを共感するためにも、必ず読んでもらえるとありがたい」と語った。故キム・サンハさんの母親、シン・ジヒョンさんは「『遊びに出かけて死んだ人たちなのに、なんで国が責任を取らなきゃならないのか』という人々にこの本を一冊ずつ与えたい」と話した。故イ・ジェヒョンさんの母親ソン・ヘジンさんは「私はその日、その場にどんな形でも一緒にいた方々に一度読んでほしい」とし、「人生の意味を見出せず、いつもなぜ生きていくべきなのか、その理由を絶えず考えながら生きている人々がここに(共にして)いるということを必ず伝えたい」と語った。 遺族たちは26日、ソウル中区のソウル広場で梨泰院惨事2周忌市民追悼大会を開き、以後も全国を回りながらブックコンサートを続ける計画だ。 キム・チェウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )