総得票数からみる最近10年のベストナイン
■三塁手 新陳代謝が進まないセ、パは中村が断然
セ・リーグはこの部門でも人材が不足傾向(表5-1)。過去10年での得票数トップは村田(巨人)だが今シーズンは極度の打撃不振で得票数は0だった。通算191票を獲得している森野(中日)、97票の新井(広島)はすでに三塁手ではなく、131票のルナも来シーズンの去就は不明、ほかに得票経験のある選手が堂林(広島)、新井(阪神)、梵(広島)とあっては、首位打者も獲得した川端を脅かすような選手は当分現れそうにない。 パ・リーグは中村がリーグ2位の5度選出(表5-2)。中村は一塁、指名打者での得票もあり総得票率では43.8%でリーグ1位の数字を残している。松田(ソフトバンク)は10年で286票を獲得しながらいまだ選出はなし。NPBに残るのであれば今後も中村の壁に挑戦し続けることになりそうだ。
■遊撃手 鳥谷を追う坂本、パは新旧交代の時期
鳥谷(阪神)が獲得した1141票はリーグ2位の数字、6度の選出も2位だ(表6-1)。この鳥谷と毎年のように争っているのが坂本(巨人)だ。選出は2度だが、獲得した639票はセ・リーグの内野手全体でも2位の数字、2009、12年と打率が3割を超えたシーズンには鳥谷を上回ることができているので、今後も選出は打撃次第となりそう。 パ・リーグは8年で4度選出の中島(オリックス)と5年で2度の西岡(阪神)が一時代を築いたが、2013年以降は毎年受賞者が入れ替わっている(表6-2)。得票数3位で2013年選出の鈴木(ロッテ)、5位で今シーズン選出の中島(日本ハム)、6位で2014年選出の今宮(ソフトバンク)はまだ若く、世代交代期にあるといえるだろう。
■外野手 セにポスト青木は現れるのか? パは世代交代進む
セ・リーグは2011年までプレーした青木(当時ヤクルト)がいまだに1位をキープしている(表7-1)。6年間で6度選出されていて、この期間の選出率100%は青木だけだ。この青木を票数で追っていたマートン(阪神)も今シーズンで退団、3位のラミレス(ヤクルト、巨人、DeNA)もすでに現役ではない。上位には引退した選手の名前も目立っている。得票数4位の長野も近年はケガがちとあって上位の顔ぶれが変化しない中、今シーズンは筒香(DeNA)が得票数1位で初選出された。まだ24才と若く今後常連となっていくことが期待できるだろう。 今シーズンのパ・リーグはここ数年多くの票を集めてきた糸井(オリックス)と内川(ソフトバンク)が今シーズンは揃って落選、代わって秋山がこの10年では2013年の田中(楽天)しか達成していない満票での選出、柳田(ソフトバンク)も99.1%の高い得票率で選出、初選出された清田(ロッテ)も加わりフレッシュな顔ぶれとなった。糸井、内川、9年で4度選出の稲葉(元日本ハム)、3度選出の栗山(西武)の時代から着々と世代が交代している(表7-2)。
■指名打者 山崎以降は外国人のポジション
この10年では外国人選手が6度選出されていて年替わりで受賞者が入れ替わっている(表8)。現役で受賞経験者は、去就が不明なペーニャ(楽天)、李大浩(ソフトバンク)を除くと中村(西武)と福浦(ロッテ)だけ。ともに現状は指名打者のレギュラーではなく来シーズンの勢力図は見えてこない。ただ今シーズン51票を獲得した森(西武)が、今後も指名打者に定着するようであれば常連となることは間違いないだろう。 (株)日刊編集センター