総得票数からみる最近10年のベストナイン
■捕手 セは阿部の10年、パは群雄割拠
セ・リーグでは阿部(巨人)が10年間で8度の選出、総得票数の1555票、通算得票率66.6%は両リーグ通じて1位、得票数の1000票超えも、得票率の50%超えもこの10年間では阿部だけだ(表2-1)。その阿部の牙城を9年ぶりに崩したのが中村(ヤクルト)だ。阿部のコンバート、ライバルの不在もあって多くの票を得た。セ・リーグには現役で票を獲得した経験のある選手がほかに相川(巨人)、石原、會澤(ともに広島)、黒羽根(DeNA)、狩野(阪神)、小林(巨人)と6人しかおらず、相川以外は10票以下だ。リーグとしては実績ある捕手がほぼ枯渇している状況といえるだろう。 パ・リーグは10年で7人の捕手が選出されている(表2-2)。トップは嶋(楽天)だが出場試合数は減少傾向で今シーズンの得票は8票止まり。今後は今季156票で初選出された炭谷(西武)、32票の近藤(日本ハム)、17票の田村(ロッテ)らがランキングを上げてきそうだ。
■一塁手 セは日本人が人材難、パは中田が常連となるか
セ・リーグは中日、DeNAで6年プレーしたブランコがトップ、2位は今シーズン多くの票を得た畠山だった(表3-1)。リーグとして日本人選手の得票が少なく、畠山以外に一塁手で得票経験があるのは新井(広島)森野(中日)阿部、亀井(巨人)のベテランだけ、それも20票に満たない数字だ。来シーズン以降も畠山vs外国人選手という構図になるだろう。 パ・リーグは西武、オリックスで7年プレーしたカブレラが1位、今シーズンは指名打者で選出された李大浩(ソフトバンク)が2位となった(表3-2)。今シーズンの受賞者は本格的に一塁に転向した中田(日本ハム)。外野手、指名打者としての得票数を合わせると過去10年の票数は467票とリーグ8位の数字で今後はこの部門の中心となっていきそうだ。
■二塁手 2年でトップに立った山田、パは田中vs藤田vs浅村
荒木(中日)、平野(阪神)、田中(ヤクルト)、東出(広島)ら名だたる選手が争ってきたポジションだったが、この2年で一気に山田(ヤクルト)がトップに立った(表4-1)。3年連続で得票数2位の菊池(広島)は通算で202票を獲得している。これは選出経験のない選手の中ではこの10年で2番目に多い数字だ。 田中(日本ハム)はメジャーでの2年間のブランクがありながら受賞回数6回、得票数801でトップとなった(表4-2)。6度の選出はリーグトップ、得票率40.1%はポジション別では外野部門の糸井(オリックス)に続くリーグ2位だ。派手な成績を残す選手ではないが、リーグ内での傑出度は高い。田中のいなかった2年間で2度選出された藤田(楽天)だが、今シーズンはケガもあって4票に止まった。来シーズンは一塁から移った浅村(西武)を加えての三つ巴の争いになるか。