【特集】能登半島地震からまもなく1年、石川県珠洲市の“現在地”を取材 動き出す復興への歩み「真剣に落ち込んでいる暇もなかった。なるようになる」
多田さん: 「こういう取材を受けるのは、前回も言ったんだけど、ほかの報道関係にも言っているんだけど、ありのままの1年後の今の状況を映してください。能登半島の先端の珠洲市で、(2024年)1月1日に被災して、1年近く経ったけど、まだこういう状況ですよと。それが甚大な地震とか津波を受けた地域でそうなっているんですよと。地震津波だけじゃなくて、半年経って9月、そこでまた大洪水が起こったという。信じられないくらい、何千年に一回の地震津波、洪水も結構確率的には低い。それが1年間で起こるという。想定内という言葉じゃなくて、想定外もそうだけど、それをはるかに超えたものが起こるんですよと。起こった時に、現在こうですよと伝えていくことは大事」 ふるさとの復旧に向けた道のり。多田さんの自宅の解体は、年を越しそうだといいます。 Q.自宅はまだ手付かず? 多田さん: 「手つかず。だからこの前、いつ来るんだ?って。ちょっとね、遅れている部分もあってと。しゃあないなと。更地になるとね、いろんな構想が出てくると思うんだけど、でも一瞬でも更地になるのはさみしい部分もあるなって。潰れてもしばらくこのままでもいいよな、という複雑な心境です。まあ頑張って、また(家族で)集まれるような小さな家を建てようかなと思う」
2024年12月中旬。英子さんはこの日も、猫のナナの餌やりで自宅を訪れました。 英子さん: 「ナナ。来た。あんた・・・。ごはんやろうかな。ここに入れるから」 自宅は解体を終え、更地になりました。
英子さん: 「とにかく解体してもらえれば、何か進むんじゃないかと思って。あしたの灯が見えてくるのかなと思ってしたんだけど、なんも見えてこん。私、自分で思って、1年経つんだと思って。何かついこの間みたいな感じして。なんだかさみしい。なんか過ぎていったのがよかったのかなと思ったり。ちょっとわからん、本当に」
かつての自宅から離れた場所で続く生活。それでも中島さん親子は、住人が金沢市に移り住み“空き家”となった自宅近くにある住宅を、購入する計画を進めています。