【特集】能登半島地震からまもなく1年、石川県珠洲市の“現在地”を取材 動き出す復興への歩み「真剣に落ち込んでいる暇もなかった。なるようになる」
同じころ、多田進郎さんの自宅も手つかずのままでした。自宅の解体のめどについて、「雪が降る前にはやってくれる、と期待しているんだけど」と話します。 見附島を望める自宅からの景色が、多田さんのお気に入りでした。 Q.ずっと住んでいたご自宅、取り壊すのも… 多田さん: 「惜しいよね。みんな涙でるよって言っていたけど、俺は出ないだろうなと。わからんけどね。真向いの人は更地にしたとき涙が出たよって言っていた。まあしかたないわな、でも」
2024年10月末時点で、石川県内の公費解体の進捗率は23.9%。 泉谷 満寿裕珠洲市長: 「解体がスピードに乗ってきたのは、夏の終わりごろ、秋口からなので、そこで一気に進みましたので、そこまでの半年間は、滞っていたところはあるかもしれませんね。金沢を拠点にということになると、行き来に時間がかかるので、作業効率が上がらないということは(半島という)地理的なハンディとしてある」 2024年11月7日。中島さん親子が住んでいた、はなれの解体が始まりました。
英子さん: 「なんかね、心がきゅーってする」 由起さん: 「寂しい。みんな一緒だと思いますが」 Q.この時を待っていましたが… 由起さん: 「そうですね。つぶれた時も寂しかったけど、なくなるのもさみしくて。でも進んでいかなくちゃいけないから」 一週間後、はなれの解体は終わり、母屋の解体が始まりました。作業員が残された品をとりわけながら、解体作業が進められます。 解体作業が進む現場で、英子さんが手に取ったのは、“アルバム”。
Q.見覚えありますか? 英子さん: 「これ由起やな。ほら、由起やわ。これ私やけど。若いころの。ははは。こんな若い時もあったんやわ。ははははは。いま、ばあばだけど、若い時もあったんだ」 由紀さん: 「白黒やな、中学校かな。びっくり、びっくり、びっくり。好きな男の子も出てた。ははは。高校の時の体育祭やわ」 町内で踊りの先生をしていた由起さん。その際に使用する、扇子もたくさん出てきました。ひとつひとつ、カビや泥をふき取り、乾かします。