復興の光(12月7日)
冬の風物詩イルミネーションの起源は約500年前の16世紀にさかのぼる。ドイツの宗教家がクリスマスイブの帰り道、森の中で夜空に光る星を仰いで感動した。子どもたちにも見せたいと、モミの木にろうそくを立てたのが始まりとされる▼冬の夜を照らすイベントが各地で繰り広げられている。南相馬市小高区では「あかりのファンタジー」と銘打ち、区内28カ所が電飾された。中心部の公共施設や地元企業にとどまらず、郊外の民家も協力して地域を盛り上げる▼きっかけは旧小高町当時の2002(平成14)年。地元の観光協会がコンテスト形式で主催した。当初は10人ほどの参加だった。徐々に数を増やし、地元の名物行事として定着した。原発事故による避難指示後は、仮設の住宅、校舎、避難先の事業所などで継続し、希望の灯をともし続けてきた▼今年はプロカメラマンが監修したフォトスポットや、音楽と光が連動するドームを新たに登場させ、体験型の場を増やした。震災発生から11日で13年9カ月が経過する。当地に足を運び、進化する輝きをご覧になってはいかがだろう。復興の一番星が、そこかしこで優しい光を放ち、地域の前途を照らしている。<2024・12・7>