イタリア料理の神髄とは? 世界的三つ星シェフの答えは「ブルガリ ホテル 東京」に
■ラグジュアリーな料理とは何か
「スパゲティ・アル・ポモドーロ」といえば、誰もが知る伝統的なイタリア料理だ。基本となる食材はパスタとトマトのたった2つだが、「これこそイタリアの神髄とでもいうべき料理」という。「伝統から出発しながら、誰もが忘れられない新しい料理にする。『新しい』とはいっても、何の脈略もなく生み出された料理ではなく、それまで積み重ねてきた自分の経験から生まれたトマトの甘みや酸味、パスタのゆで時間など複雑なリサーチと膨大な試行錯誤が詰め込まれている。そうやって、私はシンプルだけれど、どのお客様の心にも残るトマトのパスタに行きついた。一つの例にすぎないが、それがラグジュアリーということだ」 「ブルガリ ホテル 東京」とのコラボレーションは非常にやりがいがある仕事で、こんなチャンスは2度とないだろうと、ロミートさんは考える。「ブルガリという揺るぎないブランドが、世界でも最も美しい大都市に展開しているホテルでメインダイニングを担当するということは、自分の料理を広く発信していくチャンス。1人の料理人が、世界に強いメッセージを伝えることができる。各国で展開している『イル・リストランテ ニコ・ロミート』では、みな同じ料理を提供している(メニューの選択は異なる)。お客様にはどの店でも親しんだ料理にあいに来ていただける。そうしたコンセプトの店は、これまでなかったのではないでしょうか」
■日本食材は発見の連続、今夏はエビ、ナス、ウニ……
「イル・リストランテ ニコ・ロミート」の料理のコンセプトは、オーセンティックなイタリア料理をコンテンポラリーなスタイルで提供すること。「くつろいだもの」とロミートさんは表現する。実験的な料理に取り組む「レアーレ」とは異なるが、食材に対するアプローチや技術などは、必ずブルガリでの仕事にも反映されていく。一方、日本の食材は発見の連続で「今夏のメニューでは日本のエビ、ナス、モモ、ウニに牛肉を使っています。大好きな日本の食材で自分の哲学、イタリアらしさを表現できることは、この上ない喜び」という。イタリアでは珍しく生のエビを食べるシチリアからインスピレーションを得た、生のボタンエビとそのエキスを用いたメニュー(冒頭の画像で紹介)は、ピンクペッパーやイタリアンパセリなどのエキスも使用し、ブルガリのジュエリーを思わせる華やかな一皿だ。 東京の「イル・リストランテ ニコ・ロミート」で指揮を執るレジデント ヘッド シェフのマウロ・アロイシオさんは「料理学校出身で大きなホテルで働いてきた自分にとって、ロミートシェフの料理は、新しい哲学や規則との衝撃的な出合いだった。食べた後に何日も料理について考えさせられた。初めての経験」と語る。伝統的でありながら、ピュアで現代的な料理をしっかりお客様に伝えていくことに、厨房でもホールでも気を配る。