専業指導者たちが切り拓いた岡山の卓球ジュニア育成の現在地<全農杯2024年全日本卓球選手権大会ホープス・カブ・バンビの部 岡山県予選会>
指導者は子どもの意識づけをする役目
「どういうふうに意識づけをするかが僕ら指導者の役目なんです」TCマルカワ代表の丸川さんは言う。 「技術を細かく教えるというより、子どもたちが“やりたい”という状態をどう作れるか、その材料をどれだけ用意できるか。子どもは吸収が早いので、やる気になったら、ああだこうだ言わなくてもやってくれますね」 そこに、この全農杯全日本ホカバという大会の意義も感じている。 「子どもの意識が変わりますよね。岡山県代表になれた、全国大会に行ったら少しでも上に行きたい。生で強い同学年の子を見て、あんなプレーができるんだと、子どもの意識に、栄養が入ってきます」
土台作りを大切にする時期
一方で「スケールが大きく、将来性のある選手の育成」を心がけてきた丸川さんだからこそ、ジュニア育成の留意点も挙げた。 「小学生の頃から結果を求めすぎると、試合で勝つ方法に意識が行き過ぎて、基礎力の土台づくりがおろそかになる傾向があります。あと、試合が多すぎると、楽しかったはずの卓球が、なぜ毎回苦しい思いで試合をしなきゃいけないの、と、子どもが途中で挫折してしまうおそれがあります」 自分の目標を決めて、それをクリアするために、卓球の練習も含めた日々の生活の中で壁を超えていくこと。“人間的な成長がないと、強くなる道も結局どこかで止まってしまうので”、穏やかに丸川さんは子どもたちを見つめた。
“ぼっけぇ”副賞・おかやま和牛肉1kg
さて、この全農杯全日本ホカバは、47都道府県予選すべてに全農が協賛していることも、特徴のひとつだ。そのおかげで、それぞれのご当地が誇る国産農畜産物が副賞として贈られる。 岡山県予選会で5人(+推薦1人)の代表枠を勝ち取った、ねや卓球道場に大会翌日にお邪魔し、副賞の食材を用いた“BBQ”の模様を撮影した。 「ずっとみんなでBBQやりたいねと言っていたので、良い機会になりました」創設14年目で初となった“敷地内BBQ”に、祢屋康介代表が笑った。
“ぼっけぇ”副賞・和牛肉1kg
岡山県予選は、副賞が特に奮っていた。 優勝者に贈られる副賞『おかやま和牛肉 ぼっけぇ盛り 肩ロース焼肉用』は、なんと1kgである。 「おかやま和牛肉は、“竹の谷蔓(たにつる)”という良質なお肉ができるルーツを持ち、他のブランド牛のように名前は通っていませんが、味はそれらに負けずに美味しいのが特徴です」 実はご自身も卓球愛好家の、JA全農おかやま・伍賀弘県本部長は胸を張る。 “ぼっけぇ”は岡山弁で“すごい”の意味で、確かに1kg、迫力のボリュームである。 「和牛肉となると、記念日やお祝いによく食べられるかと思いますが、例えば今日の試合後に“よく頑張ったね”と、ご褒美として食べていただけると良いですよね」 JA全農おかやまの伍賀さんが想像するように、和気あいあいとお肉を頬張る子どもたちだった。