「憧れを売っている」青いヤマハ、インドのZ世代を直撃するプレミアム戦略の躍進
◆「ヤマハに乗るのが夢だった」
チェンナイのBikerz Chromepet店では20代のR15&MT-15オーナー3名に話を聞くことができたが、いずれも「ヤマハに乗るのが夢だった」と話していたのが印象的だ。
コミューターやスクーターが6~7万ルピー(約10~12万円)なのに対し、R15やMT-15は10万ルピー(約18万円)以上。大卒の初任給で2万5000ルピーから3万ルピー(約4万円~約4万8000円)と言われるインドではかなりの出費だが、それでも「他のブランドよりも高いが、価値に見合った価格だと思う」として、「友人たちのバイクと比べてもパワフルで負けない」「信頼できるブランド」「スポーティさ、快適性、燃費性能、デザインすべてを兼ね備えている」「ヤマハに乗っているとモテる」など、所有する喜びを噛み締めている様子だった。
2022年~24年の中期経営計画でアジア二輪プレミアム戦略を掲げたヤマハ。拡大するZ世代に向けた販売戦略は着実に結果につながっているが、実際にインドの販売店ではどう受け止められているのか。チェンナイでブルースクエア店を3店舗経営するナヴカラスさんは、「ヤマハは他ブランドとは違う」と話す。
ナヴカラスさんは2017年まではバジャジを販売していたが、2018年にヤマハに鞍替え。ブルースクエア1号店として開業当初よりプレミアム路線を推し進め、従来と比べて「販売規模は10~15倍になった」という。2023年の販売台数は4500台にのぼった。「顧客はハイブランドとしてのヤマハにプラスアルファを期待している」といい、ツーリングなどのイベント含めた戦略が奏功していると述べた。
またプレミアムバイクを購入するユーザーはコミューターと比べてディーラーに根付きやすく、整備などの機会も増えるため、メンテナンスによる収益も上がった。これにより「ビジネスへのモチベーションも上がった」という。
さらにナヴカラスさんは、「ヤマハはブルースクエアに改修する費用の半分を出してくれた。販売、サービススタッフへのトレーニングもヤマハがサポートしてくれる。他ではあまりない」とヤマハの取り組みを評価し、「ラインアップには満足している。あとはより長距離ツーリングができる300ccクラスが充実してくれば」と将来への期待を語った。