【パリ五輪女子注目国】ドイツ代表「上昇気流に乗るオリンピック初出場チーム」
7月27日から8月11日にかけて開催される「パリ2024オリンピック競技大会」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会注目の女子ナショナルチームをピックアップした。今回紹介するのは、FIBAランキング19位(7月31日時点)でグループCに所属するドイツ代表だ。
■ 躍進を支える要注意人物は?
「パリ2024オリンピック」の初戦で、ヨーロッパ覇者の女子ベルギー代表から白星を奪ったのが女子ドイツ代表だ。オリンピックは初出場で、トップチームはこれまで20年以上、世界大会の表舞台に立つことができずにいた。直近で出場した世界大会というと1998年の女子世界選手権(現在の女子ワールドカップ)までさかのぼる。なお、その大会では日本は順位決定戦でドイツと対戦し勝利している。 チームを率いるのはリサ・トマイディスヘッドコーチで、長きにわたってカナダ代表のアシスタントコーチやヘッドコーチを務めており、「東京2020オリンピック」でも女子カナダ代表を率いていた(成績は9位)。そのトマイディス氏がドイツのヘッドコーチに就任したのは2023年のこと。その年の女子ユーロバスケットで6位に入り、2024年2月の「FIBAオリンピック世界最終予選(OQT)」へと進んだ。 OQTではブラジル会場に属し、オーストラリア、セルビア、ブラジルと、かつてオリンピックでメダルを獲得したことのあるチームと3枠の出場権をうことに。すると初戦のセルビア戦で73-66と勝利し、オリンピック出場をググッと近づける。続くオーストラリア戦にはエースのサトウ・サバリーの欠場も影響し52-85で敗退。そのため、ブラジル戦がオリンピック出場のための大一番となったが、接戦となった試合を73-71で制し、見事パリ行きを決めた。 中心となるのは先に挙げたサトウ・サバリーと妹のニャラ・サバリー。そしてレオニー・フィービッチだ。サトウはOQTでは2試合に出場し1平均は19.0点10.0リバウンド4.5アシスト。2月に負った肩のケガにより所属するWNBAのダラス・ウィングスでは今シーズンの出場はまだないが、オリンピック前にケガから復帰し、7月24日(日本時間)のアメリカとの強化試合には26分出場した(8得点5リバウンド)。パリオリンピックのベルギー戦でも29分弱の出場で17得点6リバウンドと勝利に貢献している。また、ベルギー戦では妹のニャラも16点を奪取。そしてWNBAのニューヨーク・リバティーに属するフィービッチは約36分間コートに立って16得点。2月のOQTでも1試合平均得点でチーム最多の18.0得点を挙げ、オリンピック初出場の原動力となっている。 OQTから4人の選手が入れ替わったドイツだが、その中で注目はポイントガードのアレクシス・ピーターソンだろう。OQTには出場していない帰化選手で、オリンピックに向けた新戦力となる。大会前は彼女がどのようにチームにフィットするかがポイントと見られていたが、ベルギー戦では約39分の出場で15得点8アシストと堂々のプレーを見せた。ほかにも11分の出場で11得点という働きを見せた20歳のフリーダ・ビューナーといった若手選手の台頭も著しい。2年後には地元開催の女子ワールドカップも控えていて、オリンピック初勝利で勢いに乗るドイツは不気味な存在といえる。 文=田島早苗