メーカーズシャツ鎌倉の「オックスフォードボタンダウンシャツ」に隠された「こだわり」のヒミツ
2024年9月、本場、ニューヨークに再出店
オックスフォードというのは生地の名称です。糸の番手で縦に40番、横に10番で組む。「4010番」と業界では言いますが、ざっくりした風合いの厚めの生地にします。紡績メーカーと組んで、糸から生地を作っていくんです。洗いざらしも気持ちいいし、アイロンを当てたらネクタイと合わせられる。 我々は、生地も糸から開発することが多いです。例えば、シワになりにくいイージーケアのシャツ。実はたくさん要望をいただいて、ようやく作った製品でもありました。一般的なイージーケアのシャツは、生地を作った後に樹脂をかけて固めるんです。そうやって、シワになりにくくする。しかし、樹脂をかけてしまうので、やはり硬くなります。 我々のイージーケアは、糸から加工しているんです。それを生地にするので柔らかい。耐久性も上がる。今、最も売れているシリーズでもあります。 '12年には、ニューヨークにも出店。こだわりのシャツは本場のニューヨーカーにも支持をいただきました。創業時から父が目標としていたのが、ニューヨーク出店。いつかはアメリカで、という思いがあったんですね。ボタンダウンの生みの国で、どこまでやれるか、と。 でもこれは、日本人がアメリカでステーキハウスを出すようなもの。ですから、関係者の皆さんからも、あり得ないと思われていた。ところが、本当に実現させたんです。マディソンアベニューに店を出した。 これには、日本で我々のシャツを作ってくださっていた工場の皆さんも感動されて。こんなところで自分たちのシャツが売られるのか、と。みんなで頑張っていこう、と一緒に夢を見たんです。ただ、コロナがやってきてしまい、'20年に閉店をしていました。 ところが、すでに5万人を超える顧客リストがあったんです。それを基になんとかビジネスをつなげたい、とオーダーシャツを受注してくれていた一人の女性スタッフが残ってくれていました。 アメリカ全土に、生地を持って回り、お客さまの寸法を測ったり。そんな活動を4年間、やっていたんですね。また、アメリカから日本の鎌倉シャツが買えるグローバルオンラインストアも好調でした。そこで'24年9月に再進出を果たしました。