さいたま地裁＝さいたま市浦和区高砂

　2022年6月、内縁の妻＝当時（43）＝を包丁で複数回刺して殺害したとして、殺人と覚醒剤取締法違反、銃刀法違反の罪に問われたブラジル国籍の住居不定、無職タンジ・セラ・マテウス被告（33）の裁判員裁判の判決公判が16日、さいたま地裁で開かれ、江見健一裁判長は求刑通り懲役18年を言い渡した。 疑惑あった娘の元彼、父がバーで踏みつけマグロ解体機でばらばらにし焼却…否認の理由は　バー経営者は自殺

　江見裁判長は争点だった被告の自首の成否について、警察に被告が犯人とみられることが発覚した後に自首したとして、成立しないと判断。覚醒剤の使用も自身の意思による摂取だったと認定した。 　判決理由では、内妻の浮気を疑い否定されたことに腹を立て、無抵抗な内妻を包丁で複数回刺したなどとして「冷酷さが際立っている」と指摘。自身の精神状況についてもうその申告をしたとして「真摯（しんし）に向き合っているとは言い難い」と非難した。 　弁護側は被告が「嫉妬を妄想的に発展させ、怒りをコントロールできなかった」とアルコール依存症による精神障害が影響したと説明。自首が成立するとして懲役12年が相当とし、覚醒剤使用については無罪を主張していた。 　判決によると、被告は22年6月12日、本庄市内の歩道上で、内縁の妻の胸を包丁で複数回刺して殺害。5月下旬ごろ～6月12日の間に、覚醒剤を使用した。 ■長女の前でめった刺し（以下、論告求刑公判の記事）

　2022年6月、内縁の妻＝当時（43）＝を包丁で複数回刺して殺害したとして、殺人と覚醒剤取締法違反、銃刀法違反罪に問われたブラジル国籍の住居不定、無職の男（33）の裁判員裁判の論告求刑公判が9日、さいたま地裁（江見健一裁判長）で開かれた。検察側は懲役18年を求刑。弁護側は懲役12年が相当とし、覚醒剤使用については無罪を主張して結審した。判決は16日。 　検察側は論告で「無防備な女性を長女の目の前でめった刺しにした」と悪質さを強調。犯行後、警察に出頭したことは「長女への聴取により犯人発覚後で法律上の自首は成立しない」と指摘した。 　被害者参加制度で参加した女性の遺族は「身勝手な理由で尊い命が奪われ、悲痛な思いで生活している。永遠に刑務所から出てほしくない」と無期懲役を求めた。 　弁護側は「嫉妬を妄想的に発展させ、怒りをコントロールできなかった」とアルコール依存症が影響したと説明。出頭した時点では犯人が判明していなかったとして、自首が成立すると主張した。被告は最終意見陳述で「家族に申し訳ない。事件前に戻れるなら事件が起こらないような行動を取りたかった」と述べた。