パートナーの「裏切り」から立ち直るための3つのステップ
相手への思いを断ち切り、親しい人とつながる
2005年に心理科学ジャーナルのPsychological Scienceで発表された研究では、自己の思考や感情から距離を置いて客観的な視点に立つと(感情的になって悪循環に陥ったり、被害者意識をもったりせず、全体状況がなぜ起きたかについて考えるようにすること)、落ち着いて感情を処理して、気持ちの整理をつけやすくなることが明らかになった。 こうしたアプローチをとれば、激しい否定的な感情を呼びおこさずに、体験を振り返ることが可能になる。出来事のネガティブなとらえ方を変えれば、感情的な苦痛が和らぎ、立ち直りに向けた健全な道を歩んでいけるようになるだろう。 ■3. 相手への思いを断ち切り、親しい人とつながる 当然のことながら、パートナーに裏切られると、怒りや悲しみに加えて、かつての2人に戻りたいという思いが入り混じる。とはいえ、いつまでも思い悩んでいると、苦しみの悪循環から抜け出せなくなってしまう。 それよりも、裏切った相手への思いを断ち切って、その感情エネルギーを、自分を支え、気にかけてくれる人に向けることが不可欠だ。裏切られたときに何よりもつらいのは、不信感や、捨てられたという感情が芽生えることだ。ゆえに、自分のそばにいてくれる人と、改めてつながるよう勧めたい。 2015年に米ライフスタイル医学誌のAmerican Journal of Lifestyle Medicineで発表された研究によると、社会と再びつながることは「人生にとっての薬」だという。また、身体的・感情的にもさまざまなメリットがあり、健康的な体重の維持や血糖値の正常化、うつの緩和、PTSD症状の低減による全般的なメンタルヘルスの向上が見込める。 社会と結びつくと、感情がまた満たされるようになり、自分を裏切る人ばかりではないことを再認識できる。例えば、どんなときも寄り添ってくれる親友と時間を過ごすと、人を再び信用できるようなり、信頼や誠実さが失われていないことを改めて実感できるだろう。 思いを断ち切ることは、感情を抑え込むという意味ではない。裏切った相手、ならびに裏切りによって生じた苦しみから、意識的に距離を置くということだ。そのためには、再び前を向けるよう、趣味に精を出したり、社会活動に参加したり、専門的なセラピーを受けたりするといい。裏切ったパートナーが自分の生活で占めていたスペースを、前向きな影響で少しずつ埋めていくことを目指そう。 忘れないようにしよう。裏切りは、自分というよりは、裏切った者の人間性を、よりはっきりと示すものだ。ここで紹介したステップを踏めば、感情的な強さを取り戻して、回復力があり、自信を持ち、より満たされた自分になる道を見つけ始めることができるだろう。
Mark Travers