平成の日本政治とは?(4完)新自由主義の席巻と民主党政権のトラウマ
再登板した安倍政権は「何でもあり」「米国頼み」
再登場した安倍はかつての失敗から学び、バブル崩壊以来のデフレの解消に取り組むことが国民の支持を得る道だと判断した。そのため大胆な金融緩和を行うが、しかし「アベノミクス」の三本の矢には公共事業と規制緩和という「小さな政府」と「大きな政府」が混在している。 いわば「何でもあり」の政策で、金融緩和の効果に疑問が出れば、「アベノミクス」第二幕と称して、かつての民主党と似たような幼児教育の無償化を打ち出したりする。つまり小泉政権と違い、2つの政党と政策が切磋琢磨する構図を作るのではなく、ひたすら政権交代をさせたくない姿勢を見せている。 外交も米国頼み一色である。日本は必要以上に米国の顔色を窺うようになった。これは米国の思うつぼだ。ジョセフ・ナイが言うように、日本に自立のための軍隊は持たせず、日米同盟を強固にすれば軍事でも経済でも日本を脅して米国は思い通りの要求を飲ませることができる。その体制が強まった。
一極支配やめようとしている米国、日本はどう戦略描く
しかし冷戦終結後に唯一の超大国になった米国は、もはや世界を一国で支配することが不可能になった。オバマはリベラルな手法で、トランプはそれと真逆の手法で、「世界の警察官」をやめようとしている。クリントンやブッシュ(子)が米国の価値観で世界を支配しようと起こした戦争で躓き、中国の台頭に対応できなくなっているからだ。 トランプを見ていると、「アメリカ・ファースト」と言いながら、米国一極支配から多極化への構造転換を図っているように見える。冷戦構造は米ソ二極、平成の時代は冷戦後の米国一極支配が崩れていく過程、そして令和の時代にはこれまでと異なる未知の構造が待ち受けている。 日本は冷戦構造を利用して絶妙の外交術を展開し、格差の少ない経済大国に上り詰めたが、米国一極支配が崩れていく平成の時代には、米国の逆襲に遭い、米国への従属度を強めた。各国がそれぞれの戦略を磨いている時に、かつての成功に引きずられ、真剣に生き残りの戦略を考えなかったからだと私は思う。 今度こそ世界の構造変化をしっかり見抜いて、世界最速の少子高齢化に突き進む国の生き残り戦略を打ち立てる時が来ているように私は思う。