いったい、どのようにこの宇宙は誕生したのか…最新研究から見えてきた「驚きの仮説」
138億年分の「宇宙カレンダー」が教えてくれること
138億年という長大な時間スケールを理解するために、私たちはよく「宇宙カレンダー」を用います(図:宇宙カレンダー)。 これは、宇宙開闢の瞬間を元日の午前0時、現在を大みそかの真夜中午後11時59分59秒に設定して、138億年の宇宙の歴史を慣れ親しんでいるカレンダーの1年間に圧縮して対応させたものです。 宇宙カレンダーの1日は宇宙の歴史の3781万年に対応するので、例えば今から45.7億年前に起こった太陽系の形成は、大みそかより120日前、つまり9月2日未明の出来事になります。その日の夜(45.4億年前)には地球が生まれて、やがて海ができ、まもなく地球上に最初の生命が生まれた、と考えることができます。地磁気が形成されて宇宙から降り注ぐ放射線から生命が守られる状態がつくられたのが、海洋形成の少し前の9月11日(42億年前)。やがて光合成によって酸素をつくり出すシアノバクテリアも生まれました。 地球全体が氷に覆われた全球凍結(スノーボールアース)は11月1日と12月13日、14日の3度あったと考えられています。12月18日(5億2500万年前)にはカンブリア大爆発と呼ばれる生物の種類の爆発的な増加があり、大型の生物が生まれるようになりました。その後に隆盛を極めた恐竜は、12月30日の早朝6時5分(6600万年前)に絶滅しました。私たちを含むホモ・サピエンスの登場は、除夜の鐘が鳴る大みそかの23時48分(31.5万年前)ということになります。 この「宇宙カレンダー」を用いると、全球凍結が日本で寒くなる時期に当たるので妙に納得したり、宇宙の膨張が加速に転じる約60億年前(7月26日)を夏の始まりの高揚感と結び付けたり、また、海洋の形成を厳しい残暑の疲労感と結び付けるなど、間違った印象を与えかねないのですが、138億年という圧倒的に長い時間を、全体を通して見渡している気分になれるという点は大きな効用だと言えます。