欧州最大ホテルチェーンが、テニス「全仏オープン」とタッグを組んだワケ
都心ではテニスの全仏オープンとコラボ
上述のようにアコーは、社員教育も順調に実施し、オープン前の期待通り、地方に客を送り出すことに成功。日本でのビジネスに手応えを感じている。一方、東京など都市部でのビジネスのアプローチは、また違った戦略を取った。都心でのマーケティングの起爆剤となったのが、ローランギャロス(全仏の別名)のジュニア大会が東京で開かれ、プルマン田町東京とコラボすることになったことだ。 同ホテルのロビーやエレベーターを全仏オープン一色にし、アンバサダーを務める錦織圭が宿泊したコラボレーションルームも用意した。「最初に話を聞いたときに面白いなと思いました。4カ月前から準備を始め、実際の搬入作業は大会開催の数日前に実施しました。基本的に先方(FFT)の要望に応えていきますが、最も気を使ったのは、一般のお客さまに迷惑を掛けないようにすることでした」 5つ星のプルマンを使用した理由は、ローランギャロスのイメージに合うと考えたからだ。その他、宴会場などのスペースの関係から選定したという。「2025年にこのジュニア大会を世界各国で開催する時、(世界展開している)プルマンで行う予定です」 日本でコラボイベントを開催するにあたり、アコーのメンバーシッププログラム「ALL」のエリートメンバーがリワードポイントを使用して楽しめる「リミットレスエクスペリエンス」を実施した。この特別パッケージには、プルマン東京田町での1泊、大会アンバサダーである錦織圭とのミート&グリート、スペシャルゲストの松岡修造を迎えた一夜限りのトークセッション、錦織によるテニスクリニック、ジュニア大会のVIPラウンジへのアクセスなどを含み、エリートメンバーにとって特別な体験を提供した。顧客にアコーのファンになってもらい、LTV(顧客生涯価値)向上にもつなげている。 他にもインフルエンサーを招待したほか、プルマンでもイベントの様子をSNSでアップするなど知名度の向上を図った。「一般の顧客がロビーでチェックインした時に、ローランギャロスの写真を撮って、バズってくれることを期待しています」