「GMARCH」が中位層に? 少子化と大学進学率の上昇で『ブランド大学』の位置づけはどう変化するのか
文部科学省の「学校基本調査」によると、1998年3月の高等学校等卒業者数は約144万1,000人でしたが、2023年3月では約96万9,000人と対1998年比で67.2%に減少しました。このような少子化にもかかわらず、国公立大学入学者数は同年比で12万8,516人から13万2,909人(103.4%)に、私立大学入学者も46万2,227人から49万1,706人(106.4%)へと増加しています(文部科学省調べ)。同じく大学進学率も36.4%から57.7%へと増加しているのです。 今回は、少子化の中で大学進学希望者が増加していくと、「ブランド」としての大学の位置づけも変化していくという話題をお送りします。(寺田拓司:株式会社東京個別指導学院 進路指導担当) 【表】難関大に現役で合格するには、 1日あたり何時間学習時間が必要か?
2040年度には大学定員充足率が80%に?
2023年7月14日の中央教育審議会大学分科会において、「2040~2050年度の全国の大学入学者が50万人前後で推移する」とした将来推計が文部科学省から示されました。現在より実に12~3万人ほど少ない数です。2023年度の大学(学部生)総募集数は62万3,245人でしたから、その8割程度の予測となります。 この資料によると、2040年度の大学進学者数(留学生や社会人入学者を除く)は約49万人と予測しています。49万人というと、2024年度大学入学共通テストの出願者49万1,914人とほぼ同程度の人数となります。 私立大学全体の定員充足率は、2023年度に100%を割り込んで99.59%となり、大きなニュースとなりました。定員充足率が100%を切るということは、定員割れの状態を示しています。しかし、上表の国公私立大の推定定員充足率が80%前後となっているように、近い将来にはさらに多くの大学が定員割れに陥ることが予想されます。 この将来推計資料には都道府県別の状況も示されていて、東京都の2040年度における私立大学の推定入学定員充足率は81.2%となっています。2023年度の都内私立大学の入学定員充足率は103.6%でしたから、20ポイント以上も下落することになります。同様に、大阪府も2023年度に101.4%だったのが83.8%と、大幅な減少が予測されています。 2023年度では三大都市圏(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫各都府県の計)の私立大学の入学定員充足率が101.4%なのに対して、その他の道県の私立大学の入学定員充足率は93.5%と、入学定員割れは地方私立大学の課題でしたが、2040年度には全国に広がると予測しているのです。