泥かきボランティア加速 石川、富山の企業「1万4000人不足」受け
●トップ参加、休暇制度活用 奥能登豪雨の被災地で、石川、富山の企業の泥かきボランティアが拡大している。石川県の試算でボランティアの不足が1万4千人に上るとされる中、平日にまとまった人数を派遣できる企業側が対応を加速。トップ自ら被災地に出向いてスコップを握ったり、休暇制度を整備して参加を促したりする動きも見られる。 「このままでは自宅で年を越せない方がたくさんいる現実を目の当たりにした。まだまだ支援が必要であり、会社として動員していきたい」 15日に輪島市で泥かきに取り組んだPFU(かほく市)の村上清治社長は被災地への思いを語った。同社は10月以降、輪島で計4回活動を実施、社員延べ38人が参加した。今後は親会社のリコー(東京)からも有志が加わる予定だ。 県の試算では、人海戦術の泥かきが必要な宅地は輪島、珠洲、能登の3市町で約1500件。現在のペースでは作業は来年1月中旬までかかる見込みで、県は1日、ボランティアの増員を図ろうと企業・団体向けの電話窓口を開設した。 北陸電力グループは10月以降、延べ250人がボランティアの輪に加わった。松田光司社長も今月9、11日に輪島市で泥かき、志賀町で災害がれき運搬などの作業に参加した。平日のボランティアが不足していることを受け、平日に業務として派遣を続けている。 コマニー(小松市)は1月から七尾市能登島を中心に住民の要望に応じて家具の搬出やごみ出しを手伝ってきたが、豪雨後は一刻も早い復旧のため、輪島市にも活動範囲を広げた。 ボランティアへの参加を促すため、休暇制度を整える動きもある。北陸銀行は元日の地震を受け、2月にボランティア休暇を新設。週末に参加すると平日に代休を取得し、平日に参加する場合は休みとする仕組みで、中澤宏頭取をはじめ、延べ120人以上の社員が能登に足を運んだ。 大同工業(加賀市)は25~29日に計40人が作業する予定。特別休暇の扱いとする。新家啓史社長は13日の決算会見で「ボランティアに参加しやすい体制づくりを進める」と述べ、自らも参加の意向を示している。 ●県外大手も協力 県外の大手企業からは15日、ソフトバンクの社員5人が泥かきの作業を手伝った。同社は従業員約2万人にボランティア休暇を活用した奉仕活動を呼び掛けており、今後も20人規模で随時、社員を派遣する。NTTドコモグループも21日から社員を派遣する方針だ。 県によると、企業・団体向けの電話窓口は14日現在、46件の問い合わせがあった。担当者は「平日はまだまだボランティアが足りないのが現状。まとまった人数で来てくれる企業の参加は助かっている」と話した。