フランス流恋愛観のリアル。マクロン大統領が25歳年上の妻と結婚、恋愛の多様化はますます加速
自由恋愛大国というイメージの濃いフランス。マクロン大統領夫妻の存在により「フランス人の恋愛に年齢は関係ない」というイメージはより濃くなりましたが、実際はどうなのでしょう。 【画像一覧を見る】
パートナーシップの形は様々、アムールの国フランス。
自由恋愛大国フランス。アムールの国フランス………広く人口に膾炙するこうしたイメージに異論を唱える人は少ないだろう。 サルトルとボーヴォワールの有名なユニオン・リーブル(結婚をしない自由な恋愛関係)は今や大昔の話だけれど、ジャーナリストから愛人の所在について尋ねられた故ミッテラン元大統領が、「で、それが何か?」と涼しい顔で答えたこと、および、「そりゃそうだよね」と大半の国民がその答えに全面的に納得したエピソードを記憶している方も多いかと思う。 もう少し近いところでは、1999年に成立したパックス(PACS)。性別にかかわらず、カップルが共同生活を営み、婚姻と変わらぬベネフィットを取得できるパートナーシップ制度だが、これを選ぶ人は、今や結婚する人とほぼ同数だという。 結婚、パックス、あるいはユニオン・リーブルに限らず、けれど離婚やパックス解消という形で恋愛関係に終止符を打つ人もとても多い。そして、終わった恋愛の後には新しい恋愛が待っている。子どもがいようが、高齢だろうが、それが新しい恋愛に踏み出す妨げにはなることも少ない。かくしてフランスでは、様々なパートナーシップの形があり、生まれては消える恋愛関係の結果であるパッチワークファミリーもごく普通の風景だ。幼稚園児同士の会話が、すでに「僕の半分の妹は」「私の半分のお兄ちゃんは」などといった具合。半分の、とは、親のどちらかが違う兄弟という意味だ。 そんなフランスではあるが、マクロン大統領が初めて大臣になってその名が知られるようになった時(2014年)、25歳という夫妻の年齢差はそれなりに話題になった。話題になるということは、やはりそれが「珍しい」からであり、またそこに従来つきまとうイメージが必ずしも「ポジティブでない」からである。 年若い男性をかどわかそう(!)としたり、愛したりする女性(40歳以上)のことを英語由来の「クーガー」という表現で呼ぶが、これは決して褒め言葉ではない。それは「痛く」て、「えげつなく」て、「獲物を襲うクーガーみたい」。口に出さずとも、そんなイメージを抱く人は、自由恋愛大国フランスですら少なくなかったのだ。だが、そうしたハンディを覆すかのように、マクロンが大統領になった頃までには、夫妻のイメージは総じてポジティブなものとして捉えられるようになり、とりわけ多くの女性たちの賞賛や共感を得るようになったのである。