横浜DeNAのセ下克上を支えたスカウト流儀とは?「巨人名投手の残像」
2017年のプロ野球を振り返るとき、横浜DeNAのクライマックスシリーズにおけるセ・リーグ“下克上”は、大きなトピックスのひとつだろう。DeNAが経営権を得て以来、5年目の昨シーズンに初のAクラス入りを果たし、今季は再びAクラスを確保。ついに19年ぶりの日本シリーズ進出を果たした。今や最もチケットを手に入れにくい球団のひとつとなり、観客動員のアップと比例して球団再建に成功している。チーム強化に目を向けると、その基盤にはドラフト戦略の成功がある。 簡単に記せば、2012年は1位、白崎浩之(駒大)、2位、三嶋一輝(法大)、3位、井納翔一(NTT東日本)、今季の首位打者の宮崎敏郎(セガサミー)も6位入団だ。2013年は、3位、嶺井博希(亜大)、4位、三上朋也(JX-ENEOS)に育成1位では砂田毅樹(明桜高)が入った。2014年は大豊作で、1位がストッパー、山崎康晃(亜大)、2位、石田健大(法大)、3位、倉本寿彦(日本新薬)と揃った。 2015年も当たった。1位が今季勝ち頭の11勝を挙げた今永昇太(駒大)、3位、柴田竜拓(国学院大)、4位、戸柱恭孝(NTT西日本)、昨年は1位、浜口遥大(神奈川大)が10勝で新人特別賞、5位、細川成也(明秀学園日立高)は、高卒ルーキーながらCS、日本シリーズでベンチ入りして要所で代打起用された。 チーム強化はドラフト、トレード(他球団の戦力外獲得)、外国人、FA補強が4本柱である。 理想はドラフトで生え抜きを育成してチームの主軸に備えること。横浜DeNAは、まさに、その理想形を突き進んでいる。これだけ続けてドラフトで成功を果たしている理由は何なのか、その背景に何があるのか。2012年からのスカウト部長でGM補佐でもある吉田孝司さんに話を聞く。 「どこの球団もそうだろうけど、日本全国を見ている担当スカウトがいて、いい選手を探してくる。会議の中で彼らが報告、いい選手は僕と高田GMが担当と一緒に見て評価する。最終的には僕と高田GMで決めるが、担当スカウトのおかげなんですよ。それとやるのは選手。選手が努力したから、こうやって戦力となって出てきているんだよね」 元巨人の捕手は、柔和な笑顔で、そうスカウト陣を褒め称えた。 投手を見る目は抜群である。左腕トリオにストッパー。3年連続で1位が戦力になることは、なかなかない。 どこを見ているのか?