「オリジナルターバンは150個」個人マネージャー・山本由美子が明かした桂由美の生き方「口癖は『私はまだやることがある』」
ただ、驚いたのは、その後でした。なんと術後、家の中に取りつけた“手すり”をすべて外してしまったんですよ。 ── それはスゴイ…。“この先使うかもしれないから当面つけたままにしてこう”とは、考えないんですね。 山本さん:普通はそう考えますよね。だって、自分が若返っていくわけではないのですから。でも、先生は、術後に取り付けた家の中の手すりをすべて取っ払って、リハビリのために借りていた車いすも返却したんです。「歩けるようになったから、もういらないワ」ですって。凄い人だなあと思いましたね。
── 気丈な方ですね。背筋が伸びる思いがします。 山本さん:凛とした姿しか人には見せない方だったので、人前では杖もあまり使いませんでしたし、どうしてもやむを得なかったり、人に迷惑をかけてしまう場面以外は、車いすにも乗ろうとしませんでした。それでも番組収録やトークショーの現場内で移動時に車椅子に乗ってもらうと、周りのスタッフに「歩けるのに乗せられちゃうんです」と、私のせいにされたり(笑)。いつもシャンとしていてカッコいい人でしたね。
桂由美という人を、側で見てきて一番驚かされるのが、変化に対する適応能力の高さです。私がまだガラケーを使っていた時代に、ひと足先にiPhoneを使い始め、ネイルを施した長い爪で、器用にパパパパッと文字を打っていて。たしか80代の頃です。 また、「今、世の中でどういう事が行われ、何をしたらみんなが喜ぶか」を常に意識していて、特に20~30代の若い人たちの意見に熱心に耳を傾けていましたね。考え方もすごく柔軟。ある時、うちの息子が、「94歳の大先輩から、“今は多様化の時代だから”と言われるとは思わなかった」と驚いていました。でも、私はむしろ“先生らしいな”と感じましたね。変わることを恐れない、むしろ楽しみながら、その波に乗って生き抜いてきた人だったのだなと思います。
PROFILE 山本由美子さん やまもと・ゆみこ。東京都出身。山本文郎さんと結婚後、テレビ業界にて旅番組やバラエティなど各方面で活躍。ブライダルデザイナー桂由美さんのサポートや飲食業と幅広く活動中。 取材・文/西尾英子 写真提供/山本文郎事務所
西尾英子