日常の軸に据えるのは「AJA」(A=遊びに行ける、J=城西に、A=会いに行こう)の精神 鹿児島城西高校がホームでプレミアリーグを戦う意味 高円宮杯プレミアリーグWEST 鹿児島城西高校×ファジアーノ岡山U-18マッチレビュー
「毎週朝に“あいさつ運動”というのがあって、近くに小学校と中学校があるんですけど、その通学路の『危ないな』と思うところにサッカー部のみんなが立って、あいさつ運動と交通整理をしています。あとは地域の清掃活動もしているんですけど、その活動をしている時は地域のおばあちゃんたちがメチャクチャ良くしてくれて、去年は試合の日に地域のおばあちゃんたちで1つのテントが埋まったりしていて(笑)、そういうのは嬉しいですよね」(當眞)
日常的に接している高校生が、ピッチの中で必死に戦っている姿を見れば、応援したくならないはずがない。地域との触れ合いが生み出している絆も、ホームゲームがポジティブな空気に包まれる大きな要因だ。
ここまで未勝利の最下位と苦しんでいた鹿児島城西の選手たちはこの日、逞しく戦い抜いた。前半に先制点を許しながら、エースの大石脩斗がプレミア初ゴールとなる同点弾を叩き出し、終盤にはデザインされたセットプレーから福留大和が逆転ゴール。歓喜の予感が会場に充満していく。
1点リードで突入したアディショナルタイムは5分。必死に、懸命に、相手の攻撃を凌ぎ続けると、主審の吹き鳴らしたタイムアップのホイッスルが、青空へと吸い込まれていく。「もう、なんか、真っ白になるというか、力が抜けるというか、内からこみあげてくるものがあって、凄く嬉しかったですね」とキャプテンの藤吉純誠が話せば、渾身のガッツポーズを繰り出した新田祐輔監督は「嬉しかったです。それしかなかったですね」と声を振り絞る。
実に開幕から14試合目で手にした、歴史的なプレミアリーグ初勝利。会場中が一体となって、いつまでも続く歓喜の光景を眺めていた指揮官の言葉が印象深い。「アレは“中”から出てきているものですよね。日頃の生活とか人間関係もそうですし、スクールとかもそうですし、それがあふれ出ているよなという感じがあって、応援されるというのが形になったかなと。淡々と試合をして、イベントもしないで、『はい、プレミアです』という形もあると思うんですけど、オレらはみんなを巻き込んでやっているわけで、『ああ、やっぱりこれだよな』というのは再確認させられましたね」
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