三菱UFJ信託、インパクト投資で日本株ファンド-収益重視の機運
(ブルームバーグ): 社会課題の解決と収益性の両立を目指すインパクト投資で、三菱UFJ信託銀行は2024年度前半にも新ファンドの立ち上げを目指す。インパクト投資を巡っては、機関投資家向けにリターンを重視する機運が高まっている。
環境・社会課題を解決する事業を手掛ける国内の企業に投資する。道脇祐介シニアファンドマネージャーは、社会課題解決策への潜在需要は大きいため高成長が期待でき、中長期で投資すればリターンを得られると説明した。21年10月に自己資金で運用を開始。金融法人などへの提案に乗り出している。同社の運用残高は、23年12月時点で52兆7000億円に上る。
インパクト投資は社会的な改善効果の実現を意図するほか、その効果の定量的な測定が求められるなど、一般のESG(環境・社会・企業統治)投資とは異なる。インパクト投資の促進は岸田文雄政権で重要施策の一つに位置づけられており、金融庁は普及に向け収益と両立し得るとの認識の浸透が必要だとの見方を示していた。
この課題意識は、同社のインパクト投資にも通じる部分がある。通常のファンドと同じ土俵に乗せるには、社会的な効果はもとより「なぜもうかるのか」を示すことが必要だと考え、商品を開発してきた。
新ファンドの運用では「気候変動」「人権・ダイバーシティー」「循環経済」など同社が独自に定める「ESG課題」に注目する。これらの課題にビジネスで取り組む企業の中から、競争優位性があり利益を上げられると評価する30-50銘柄を選別し、5年以上保有する前提で投資するという。
自己資金での運用では、フリマアプリを運営するメルカリなどに投資。「循環経済」のテーマに取り組み、成長する企業と見る。取引を通じたリユース(再使用)の拡大が、中古品の長寿命化や廃棄物の減少による環境負荷の低減に寄与するとしている。
まだマイナーな存在
リターン獲得が使命の機関投資家向けに、日本株インパクト投資を手掛ける運用会社は他にもあり、りそなアセットマネジメントなどが運用を始めている。