異例回答も。笑いと怒りと拍手が渦巻いた“タイガース株主総会”の一部始終
続く株主の質問は、またタイガースについてだった。 この人は「新外国選手の失敗の原因を自虐本にして出版したらどうですか」と荒唐無稽な提案をした。続いて、愛知から来たという阪神ファンの84歳の男性。実は、この人、2年前にも質問に立ち、「フロントに聞きたい。なぜ打撃コーチが片岡なのか。あれが阪神で活躍したことがあるのか? みんな打てないようにしている。掛布(2軍監督)が打てるようにして上へ上げると、みんな(1軍で)打てなくなる」と、金本新監督の就任と同時に打撃コーチに復帰した片岡篤史の実名を出してやり玉に挙げていた。 「コーチが大事ってことをまだフロントの方はわからないんですかね。若手、若手で、連続出場(記録を作っていた鳥谷)の選手を代打で使っていた。(鳥谷は)先発(起用)なら(打率)2割に戻ってきた。外人を取ってきても全然打てない、守れない。いかにコーチが大事か。広島のコーチ(石井琢朗打撃コーチと河田雄祐・外野守備走塁コーチ)がヤクルトに行って、現在、ヤクルトは交流戦でトップですよ。それだけ打っている。コーチのことを考えてほしいと思います」 鳥谷の起用法など、なかなか痛い点を突く要望に満員の場内からは笑いと拍手が起きたが、確かにヤクルトは現在、阪神と同率の2位まで浮上している。 議長の角会長は、「百北から満足のいく答えになるかわかりませんが」と笑いながら返答役に百北氏を指名した。また説得力のないマニュアル返答になることを角会長もわかっていて笑ったのである。 なんとも大阪的なユーモアだ。 回答は、その予想通りに「すみません。繰り返しになりますが、我々は、監督、コーチを信頼して、指導、指揮、采配を任せています。引き続きご声援をよろしくお願いします」ときた。 角会長は「結果を出してもらわないとしょうがないですね」とフォローした。 だが、この質問は、阪神の問題点を端的に指摘している。レギュラーをつかみかけた北條や新人王の高山が、なぜ伸び悩み、昨年の後半は、西武の山川に見劣りしないくらいの可能性を見せた中谷や大山が、なぜここまで差をつけられたのか。元西武、ヤクルトで監督を務めた大御所の広岡達朗氏も「チームを作り、選手を育てるのは勉強しているコーチ」が持論だが、監督、コーチの指導力のチームへの影響は大きい。そして、その指導者選びは、フロント、経営側の責任なのだ。