世帯年収1,310万円の30代夫婦、6,000万円の住宅ローン審査に落ちて呆然…銀行員から「こっそり提案されたこと」、その後の顛末【FPが解説】
住宅購入を検討する世帯年収1,310万円の30代夫婦
<事例> 妻K 35歳 会社員 年収850万円 夫M 37歳 会社員 年収460万円 子供なし 夫は4年前に任意整理と転職あり 妻の預貯金 1,200万円 妻のKさんは大手企業に勤務する会社員です。同期のなかでは最速のスピードで昇進し、現在の年収は850万円。夫のKさんとは5年前に知り合い結婚しました。結婚後もずっと激務に身を投じたため、子供を作るかどうかについて夫婦で話し合いを持てないままでした。 2年前に夫のMさんは社内不倫のトラブルが発覚し、退職を余儀なくされました。 本来であれば妻のKさんは怒りに震えるところですが、自分も家庭を顧みず家族の一員としての役割を果たしてこなかったことにも原因があると反省したのです。夫は寂しくてそうなってしまったのだろうと理解しようと努力し、夫婦関係を解消するという事態にはおよびませんでした。
家づくりに興味のない夫
子供を作るかどうかの話し合いもしたいし、もう少し家庭生活も大切にしたいという思いから、マイホームの購入を考えるようになりました。タワーマンションにも憧れましたが、夫Mさんの実母が一人暮らしをしていて体に障害を持っているということもあり、夫の実家の近くに戸建てを購入することを思いつきました。 どうせなら注文住宅にして、延べ床面積45坪程度の広めの家が欲しい。リモートワークにも対応できるようにワークスペースを整え、広いキッチンにして料理も本格的に覚えたい。妻Kさんの夢は広がるばかりです。 しかし夫Mさんは気もそぞろな様子。家づくりに興味がないようです。 住宅メーカーの展示場を数社訪問し要望を伝えたところ、土地込みで7,000万円程度の資金計画になるということがわかりました。1,000万円を自己資金として入れ、住宅ローンの借入は6,000万円。35年返済、金利0.5%で毎月の返済額は約15万円となります。少し高いなと思ったものの、夫婦合わせて世帯年収で1,310万円あるため、決して無理な額ではないだろうと思いました。 まさかのローン事前審査に落ちる…一体なぜ? ある住宅メーカーに決め、銀行に住宅ローンの事前審査を出してみたところ予想外のことが発覚します。夫との連帯債務の形で申し込みましたが、審査はNGでした。 呆然としていると、営業マンから「あくまでも銀行からの提案という形ですが、奥さんだけで審査をもう一度かけてみてはいかがかということです」と告げられます。つまり、夫との連帯債務であればお断りだということです。 「理由はわかりません」と営業マンが言いますが、なにやら含みのあるニュアンスです。こうしたケースの場合、夫が金融事故を起こしているのは間違いなさそうですが、このときも妻はあまり気に留めることがありませんでした。その後、提案どおり妻Kさんだけの単独で行った審査には無事通過しました。