仕事の意欲低下?多すぎる〈貯金〉はかえって人生のマイナスに…幸せになれる「貯金額の目安」【税理士が解説】
貯金だけをしても、幸せになることはない
もしかするといまは、当時よりも貯金(流動性貯金※1)はできていないかもしれません。でも、そのぶんお金には変えられないものを得ることができ、貯金をしていたころの自分とは比べ物にならないほど、人生の充実感を手にしています。 貯金だけをしても、幸せになることはありません。過度な貯金をしても、あなたの人生が充実することはないのです。だからこそ、貯金をする際には目安を決め、それ以外の貯金は過度な貯金と捉え、使うか運用するかでお金をまわしていきましょう。 貯金のうち、計画性貯金※2や幸せ還元貯金※3については、目的や目標金額があるため過度な貯金になることはありません。自分で決めた金額を自分で決めた期限まで、コツコツと貯金をしていくだけです。 ただ、流動性貯金については、その性質上、どれだけでも貯金をすることが可能となってしまいます。「何かあったときのため」という抽象的な目的では、どれだけでも備えておくことができてしまうからです。そこで、流動性貯金には目安金額が必要です。 ※1:流動性貯金…いつでも引き出せる、何かあったときのための貯金 ※2:計画性貯金…将来必要なお金のために計画的に積み立てていく貯金 ※3:幸せ還元貯金…自分自身や家族などの自身のまわりの人を幸せにするための貯金
貯金は、いくらに設定しておくべきか?
では、いくらに設定しておけばいいのでしょうか? 100万円? 200万円? ここで考えたいことは、キリのいい数字ではなく「必要な数字」です。何か起こったときの最悪のケースを想定したうえで、目安を決めておけば安心です。 流動性貯金は、多すぎてもよくないもっとも大きなリスクとして挙げられるのが「病気」や「事故」で働けなくなることです。ただ、これは保険で保証をしておけばいいので、何かあったときとは考えず、別のケースで考えます。 すると、あり得るケースとしては、勤めている会社をクビになったり、会社が倒産をしたり、精神的な理由で働けなくなったりしたときではないでしょうか。こうなったときも補償が下りたり、すぐに手を打てば次の道が見つかったりする可能性が高いため、流動性貯金の目安は、だいたい「月収の3か月分」くらいあれば十分です。家族が多い場合や固定費が多い場合にはもう少し増やしてもいいかもしれませんが、それでも「6か月」まででしょう。それ以上は流動性貯金としては、多すぎます。 貯金をしておけば、一時的には安心かもしれません。何かあってもそのお金を頼ればいいですから。一方で、その貯金をしているお金は使うことができないという事実もあります。せっかくがんばって稼いだお金を使っていかないと、いつまで経ってもいま幸せになることはできません。貯金は増えても、幸せが増えることはないのです。 そのため、貯金額を増やすことを目的にするのではなく、貯金できる金額を増やしていけるように収入を高める工夫をしたり、運用をしたりしていきましょう。そうすることで幸せ還元貯金を貯めていったり、幸せ還元貯金を取り崩して幸せを買ったりすることで、幸せを感じ、あなたの人生がより充実していくことでしょう。 安江 一勢 税理士
安江 一勢