「人材育成と教育」テーマに講演 座談会では大高生も登壇 鹿大シンポジウム最終日 奄美市
鹿児島大学奄美群島拠点シンポジウム「奄美群島の『地域活性化の中核的拠点』をめざして」は最終日の12日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAで講演と座談会があった。「人材(人財)育成と教育」をテーマに、研究者や企業の代表者が講演。座談会では県立大島高校の貴島邦伸校長や同校3年の長濵康太さんも登壇し、主体的な地域社会への参画や、行政・教育・産業・金融の垣根を越えた地域全体での取り組みの重要性を訴えた。 11日に続き2部構成。1部の講演では鹿大の教授2人が、奄美の土地に根差した文化や知恵を島民が講師となって教える社会人向けの教育プログラムや、県内の離島に学生や教員が滞在し地域課題を学ぶ保健学科の取り組みを紹介。 企業からは日本エアコミューター(JAC)が鹿大と連携してパイロット志望の学生を発掘する地域密着型の就業体験を報告。与論町の学習塾「まなび島」は小、中、高校の子どもたちが地域住民や研究者から島のことを学び、発表し合う取り組みを説明するなど、それぞれが地域に根差した人材育成策を示した。 2部は「奄美群島振興のための人財育成と教育」と題した座談会。各分野の代表者がそれぞれの立場から、人と人とのつながりが強い奄美ならではの取り組みや、持続的な発展に向けた課題を語った。 瀬戸内町の小規模校出身の長濵さんは総合的な探究の時間で「離島の教育格差」をテーマに研究したといい「島で活躍する人など(自身が目指したい)ロールモデルになる人との出会いや、交流の機会を増やすことが奄美の教育において重要」と指摘。「(シンポジウムを含め)高校生でも主体的に行動することで、大人と関わる機会は増やせることに気付いた。島だからこそできること」と自身の経験を交えて語った。 各発表に対し、会場からは「(人口減少社会の中で地域に根差した)先進的な取り組み」との声が相次いだ。 12日もオンラインとのハイブリッド開催で計約100人が参加。鹿大では次年度以降も群島各島を巡り、シンポジウムを開くという。
奄美の南海日日新聞