【黒歴史】ワーストは更新せず済んだけど…紅白「視聴者の声」を反映する難しさを露呈したあの〝事件〟
史上ワーストから少しだけ盛り返した
大晦日に放送された『第75回NHK紅白歌合戦』の視聴率は第1部が29.0%、第2部は32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となった。第1部は’23年と変わらず、第2部は0.8%のアップという結果に。過去最低となった前年の記録を何とか更新せずに踏みとどまった形となった。 【驚愕】えっ…今年大ヒット曲を出して紅白出場もした歌手がまさかの……!? STARTO社のタレントが2年連続で出演しないことや、目玉となる大物歌手の出場も見込み薄だったことから「今年もワースト記録を更新するのでは?」と囁かれていた今回の紅白。12月26日には、白組の星野源(43)が当初予定していた『地獄でなぜ悪い』から『ばらばら』に変更するというハプニングもあった。 「これまでの紅白の歴史で楽曲の変更はかなりの異例です。『地獄で~』は’13年の園子温監督による同名映画の主題歌で、園監督を巡っては後に性加害疑惑報道があったため(報道については’23年12月に園氏と出版社で和解、記事は削除済み)、12月23日に楽曲が発表されるとたちまち、SNSなどで選曲に批判や疑問の声が上がったのです。曲目発表の際には、NHKが星野にオファーした、との旨のコメントが発表されていたので、NHKとしてはこれ以上、批判が集まるのを避けたかったのでしょう」(音楽業界関係者) とはいえ、20年前の’04年に曲目変更など比べものにならないほどの、事件が発覚したこともあった。 「紅白のチーフプロデューサーを務めた局員が、1998年から’01年にかけて、番組構成委託料名目でNHKから現金を騙し取ったことが発覚。詐欺罪で逮捕・起訴され、’06年に詐欺罪で懲役5年の有罪判決を受けて収監されました。さらにこの事件の発覚後に不祥事が相次いで発覚したことから、受信料の支払い拒否などが急増。当時の海老沢勝二会長が引責辞任に追い込まれました」(全国紙社会部記者) この事件をきっかけに世間の出場者選考の透明性を求める声が高まったことから、NHKは’04年に『紅白に出てほしい歌手』のアンケート結果を公表。紅組、白組の上位15組には出演交渉を行うという新しい試みを取り入れたのだ。 ◆トップ5から続々と出場辞退者が 「『出場してほしい歌手』の世論調査はそれまでも毎年行われていたのですが、外部に公表されたのは’04年が初めてでした。調査はNHKの関連会社が9月7日~10月13日に、全国の7歳以上の国民3600人を無作為に抽出しアンケートを郵送。男女2組ずつの歌手を書いてもらいました。 このアンケートには2515人が回答し有効数は61.5%。年代別の割合は日本の人口構成比とほぼ同じというのがNHKの発表でした。限りなく公平性の高い〝ガチンコ〟の調査結果であることを主張していました」(放送担当記者) その結果、男女別で発表された’04年のトップ5の顔触れは以下の通りだった(年齢は現在のもの)。 【紅組】 1位 天童よしみ(70) 2位 宇多田ヒカル(41) 3位 柴咲コウ(43) 4位 坂本冬美(57) 5位 浜崎あゆみ(46) 【白組】 1位 氷川きよし(47) 2位 SMAP 3位 北島三郎(88) 4位 平井堅(52) 5位 五木ひろし(76) 結果を受けて交渉が行われたところ、トップ5のうち紅組は宇多田と柴咲、白組は『SMAP』が、トップ15にランクインした歌手のうち、紅組は12位の松田聖子(62)、白組は6位の『サザンオールスターズ』、12位の『Mr.Children(ミスチル)』が出場を辞退した。 ◆アンケート結果発表が〝黒歴史〟になってしまった理由 「NHKにとって痛手だったのはSMAPの辞退発表です。SMAPといえば、デビューの1991年から’01年を除き前年の’03年まで12回出場。おまけに、’03年は大トリで『世界に一つだけの花』を歌い、57.1%でダントツの歌手別視聴率1位を獲得していました。 出演辞退の理由は、『新曲を出していないから』とのことでした。NHKはギリギリまで交渉したものの、出場はかなわず。その結果、視聴者からNHKに問い合わせが殺到したのです。実はSMAPが辞退したのには別の理由がありました。 当時、すでに、国民的グループとなっていたSMAPは『世界に一つだけ~』の歌詞同様に、〝ナンバー1〟より〝オンリー1〟をモットーに掲げていました。それゆえにグループとしては他のアーティストと、個人の活動ではほかの俳優やタレントと比べられることを嫌っていました。 それにもかかわらずNHKはアンケートを実施。結果、氷川さんに負けて2位になってしまったSMAPが、すんなりと紅白出場を受け入れるはずがありません。NHKが〝苦肉の策〟で行ったアンケートでしたが、SMAPという超目玉アーティストを取りこぼしてしまったことで、〝黒歴史〟となってしまいました」(同前) 翌’05年には戦後60年というテーマに沿ってさらに大々的に『スキウタ~紅白みんなでアンケート~』が行われた。これは視聴者が聴きたい曲を投票するもので、紅組は『モーニング娘。』の『LOVEマシーン』、白組はSMAPの『世界に一つだけ~』が1位を獲得。しかし、ランキングに2曲入った橋幸夫らが落選したり、ランキング圏外で知名度もゼロの『グループ魂』が出場するなど、アンケートはあくまで〝参考程度〟だった。結局、多額の受信料を使ってまで大々的にアンケートをする意味があるのかという批判が噴出、’06年以降は取りやめになったのだ。 今回の紅白も出場歌手の選考についてはいろいろと批判が噴出していた。選考に視聴者の声を反映することも難しい中で、何とかワーストを更新せずに済んだことは素晴らしいことなのかもしれない。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit
FRIDAYデジタル