676グラムで産んだ子の「服がない」自身の経験から「超低出生体重児の服」を作る女性
今年6月16日。涼子さんは、成長した雄くんと妹、夫の家族4人で北谷町の保健相談センターにいた。この日およそ10家族、25人ほどが参加した「やんばるちびっこの会」。 涼子さん・雄くん親子のように、国の定義で最も小さな新生児にあたる、出生体重1000グラム未満の「超低出生体重児」の家族が多く参加していた。楽しそうに遊んでいた子どもたち、親たちは皆、その当事者たち。ほかに管理栄養士や保健師も参加していた。 ー親たちの自己紹介ー 「979グラムで生まれました」 「550グラムで生まれました」「2歳半ですが飲み込みが難しくてまだミルクで…」 涼子さんが初めてこの会に参加したのは3年前。 自分と同じような育児の不安、悩みを抱える人たちと知り合ったことで、我が子があまりにも小さかった頃のことを振り返る余裕が少し生まれたという。今では事務局として活動をサポートしている。 「やんばるちびっこの会」の発起人で、自身も超低出生体重児を産んだ経験のある石上朱美さんは、「ここでしか話せないことがある」と会の役割を語ってくれた。 ▽石上朱美さん 「みんな経管で栄養をとって育つので、食べないことが一番の悩みで、その相談や、発達具合に関する話も多いです。保育園には行かせたほうがいいか、とか。たいてい肺に疾患があるので行かないほうがいいと言われることもあるので。あとは、普通学級・学校なのか、特別支援学校に行くのかとか、成長のステージによって様々なことを話せる」 会に参加するようになり、同じ悩みを抱える人はたくさんいると改めて感じた涼子さん。雄くんがぶかぶかの服を着ていた頃を思い出した。 ▽栗原涼子さん 「洋服のサイズが大きいと、より子どもの小ささが目立ち、悩む。そんな人はもっといるんじゃないかと。今私は息子も大きくなって小学校に上がるけど、今まさに出産してNICU<新生児集中治療室>に通ってるお母さんもいる、なにかできないかな」 早速行動に移した。 ▽栗原涼子さん 「もともと趣味で、学生時代に洋裁をやっていたんですが、この肌着作りをやりたいなと思ってから洋裁教室に通いはじめて、今も通っています」「これをやりたいなと思ってからは、壊れていたロックミシンも修理に出して。コロナ禍でマスクづくりのために親が買っていた普通のミシンも家にあって」 そして一昨年の9月ごろ、小さな赤ちゃんのための肌着の試作品が、初めて完成した。製作したのは、着丈わずか24センチのとても小さなベビー服。体重2300グラムほどの大きさの子にぴったりだ。 涼子さんは、この服の販売や、NICUがある医療機関に寄贈する活動を始めた。先日、この活動が地元紙で取り上げられると大きな反響があったという。