キオクシア生産拡大へ、市況改善 投資資金確保、反転攻勢
東芝の半導体事業を前身とするキオクシアホールディングス(東京)が、2022年から続けている電子機器の記録媒体「フラッシュメモリー」の減産を見直して、生産を拡大させることが29日分かった。悪化していた半導体市況が改善しているため。関係者によると、需要次第で今年3月にも9割程度の稼働率まで戻す見通しだ。業績悪化に歯止めをかけ、巨額の投資資金を確保し反転攻勢につなげる。 キオクシアは22年10月、新型コロナウイルス禍後のスマートフォンやパソコンの需要落ち込みを受け、北上工場(岩手県北上市)と四日市工場(三重県四日市市)で約3割減産すると発表。23年も市況は低迷し、減産を続けていた。今月発表した23年4~12月期連結決算は純損益が2540億円の赤字となり、4~12月期として赤字額は過去最大だった。 しかし、ここにきて半導体市況は回復してきている。世界半導体市場統計(WSTS)は、24年のメモリー半導体の市場規模を、データセンターなどでの需要拡大で前年比44.8%増と大幅な回復を予想する。