木村一基九段、忘れられない公開対局の思い出「詰みを逃したら“俺でも詰むぞ!”とヤジが飛びまして。それは恥ずかしかったです」
TOKYO FMグループの「ミュージックバード」で放送中の番組「Welcome to SHOGI World 駒テラスへようこそ」。公益社団法人「日本将棋連盟」の協力により、棋士をゲストに迎えてインタビュー。知られざる棋士たちの人柄に迫りながら、その嗜好性や思考性を深堀りし、“知のスポーツ”と呼ばれる将棋の魅力と奥深さを伝えていきます。パーソナリティは岡野美和子が担当。 11月24日(日)の放送では、ゲストに木村一基(きむら・かずき)九段が登場。50歳以上の現役棋士が出場する「達人戦 立川立飛杯」の意気込みや、公開対局ならではの醍醐味について語ってくれました。
木村一基九段は、1973年生まれ、千葉県四街道市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下、1985年6級で奨励会に入会、1997年四段プロデビュー。1998年には将棋大賞新人賞、1999年には年間最高勝率を記録、2019年に46歳で自身初タイトル「王位」を獲得しました。
◆50歳以上の現役棋士による勝ち抜き戦を開催!
岡野:立川で開催される「第2回達人戦 立川立飛杯」。将棋界では年間を通じてさまざまな棋戦がおこなわれていますが、12月3日(火)、4日(水)に、第2回達人戦立川立飛杯の本選がおこなわれます。 こちらは2023年に創設されました、50歳以上の現役棋士が参加条件となる将棋の公式棋戦です。本戦シード4名と予選通過4名で公開対局がおこなわれます。開催は去年からですけども、木村九段は今年が初めてですか? 木村:そうですね。去年は参加資格がなかったので「なんだよ~」と思いましたけども、今年は参加することができました。 岡野:本戦のシードは前回優勝者の羽生善治九段、前回準優勝の丸山忠久九段、永世称号襲位者の谷川浩司十七世名人、永世称号資格保持者のうち、席次1位の佐藤康光九段の4人です。予選勝ち上がり組は森内俊之九段、行方尚史九段、木村一基九段、増田裕司七段となっています。50歳以上の棋戦ということですが、棋士の方にとって50歳という年齢は木村九段にとってどんな位置付けでしょうか? 木村:勝負の世界に生きている者にとっては、50歳という年齢はあまりいいことはないですね。経験が物を言うと言われがちなんですけど、むしろ妨げになるような部分もありますので、100パーセントプラスと言うと微妙なところですね。 記憶力や判断力が鈍ることを念頭にやりますので、戦いにくいなかでどのようにやるかを(考える)。ただ、人によっては年齢関係なく活躍していますので、あまり甘いことを言っていられませんね。特に、去年は羽生会長がご自身の表彰状を読んだということもありますから、それが恒例になっちゃうとどうかと思いますので(笑)。 岡野:大きな意味でアスリートと捉えますと、なかなかスポーツだと50歳で現役で第一線は難しいですけれども、将棋はやはり達人枠としてご活躍できますよね。 木村:こうやって棋戦を主宰していただくのは大変棋士にとってありがたいことです。特に参加して本戦に行くこともできましたので、持っている力を全部出せるようにしたいです。