「アウトドアの前に必ず読んで!」 マダニ、ハチ…“恐ろしい虫”に刺されたら? 皮膚科医が解説する「正しい対処法」
山の生物の中でもマダニには特に危険!!!
──山の生物に刺されたり噛まれたりした場合はどうしたらいいですか? 花房先生:まず、ハチなど針を持つ生物に刺された場合、皮膚に針が残っている場合は取り除いてください。多くの生物が毒などの成分を出しているので、水でしっかり洗い流します。この毒を口で吸い出そうとすると、口の中に毒が入ってしまうのでやめてください。その後はなるべく早く皮膚科を受診し、ステロイド剤や痛み止めを処方してもらいましょう。 ──マダニは特に気をつけなければいけないと聞きますが、なぜでしょうか? 花房先生:マダニに噛まれても痛みやかゆみがないため、噛まれたことに気づかないこともあります。ただ一度寄生されると、お腹がいっぱいになるまで離れません。そのままにしておくと、1週間ほど皮膚についていることもあります。無理やり引き剥がそうとすると、皮膚までえぐれてしまうので絶対にやめてください。肌に小さな虫がついていて取れない場合はマダニの可能性があります。もし見つけたら、肌につけたままの状態で病院に行き、メスで切り取ってもらう必要があります。マダニに噛まれて一番怖いのは、日本紅斑熱やライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など、重症化すると死に至るウイルス感染症を媒介することです。噛まれてすぐに病院を受診し、抗菌薬で治療すれば重症化しません。なるべく早く病院へいきましょう。
アナフィラキーショックに注意!
──ハチに刺されるとアナフィラキーショックを起こすことがあると聞きます。どのようなことに気をつけたらいいですか? 花房先生:ハチに限らず、どの生物でもアレルギー反応が深刻な場合はアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。特に、同じ生物に2回目に刺されたり噛まれたりした時は、アナフィラキシーショックが起こるリスクが高まるので注意してください。息苦しい、めまい立ちくらみ、吐き気、意識障害があったり、見た目がおかしい場合などは、すぐに救急車を呼びましょう。アナフィラキシーショックは、鼻水が出る、喉がイガイガするといった症状からスタートし、息が吸いづらかったり吐きづらくなるとかなり危険です。このような状態になると血圧が低下するので、ふらついたり嘔吐をしてしまうことも。アナフィラキシーショックは刺されてから30分以内に起こることが多いので、すぐにこのような症状が出なかったとしても、しばらくは呼吸状態が悪くないか確認するようにしてください。 ──アウトドアを楽しむときは、これらの生物に刺されたり噛まれないように細心の注意を払わないといけないですね。 花房先生:そうですね。山や野原など、自然があるところに行く際は、長袖&長ズボンを着ることが基本です。さらに長靴もしくは厚手の靴下を合わせて、素肌を出さないことを徹底してもらうことが大事です。
【Profile】はなふさ皮膚科 理事長 花房火月(はなふさ ひづき)先生
皮膚科医、2006年東京大学医学部医学科卒業。癌研究会有明病院や東京大学医学部附属病院などでの研修を経て、東京大学医学部付属病院皮膚科・皮膚光レーザー科の助教授に。2011年に三鷹はなふさ皮膚科を開設。その後、新座、国分寺、久我山、志木、大宮、朝霧台、池袋、新宿にクリニックを開院。アトピーやかゆみなどの保険治療はもちろん、手術、美容施術など、皮膚科医療サービスを幅広く提供する。知識の豊富さから、メディアの取材も多数。