「アウトドアの前に必ず読んで!」 マダニ、ハチ…“恐ろしい虫”に刺されたら? 皮膚科医が解説する「正しい対処法」
キャンプ、川遊び、BBQなど、アウトドアが空前のブームです。でも、自然のあるところには刺したり噛んだりする生き物がいる!これは、切っても切り離せない事実。どんなに気をつけていても、これらの生き物の被害にあることもあります。 【蚊に刺された後の「爪バッテン」は正しい?】蚊に刺された跡を残さないためにやるべきこと それがただ痒くなるだけの蚊ならまだいいのですが、ハチやムカデ、ブユ、アブ、ヒル、マダニなど、今までに刺されたことのない虫や生き物もいるので注意しなければいけません。もしアウトドアで生物に刺されてしまった時はどうしたらいいのか? 対処法を「はなふさ皮膚科」の理事長・花房火月先生に教えてもらいました。
山で気をつけるべき虫や生き物
〈ハチ〉 日本には約4000種類ものハチが生息しているといわれています。そのすべてが刺すわけではなく、人を刺すのはスズメバチ類、アシナガバチ類、ミツバチ類、その他のカリバチです。これらのハチも、巣が危険にさらされていると思うと攻撃をしてきますが、基本的にただ近づいただけでは刺しません。ただ、6月から秋にかけては巣作りが活発になるため注意が必要です。特にスズメバチは攻撃性が強いので気をつけたほうがいいでしょう。ハチに初めて刺された場合は局所的な痛みがありますが、通常は3日程度で赤みも痛みも収まります。 〈ブユ〉 ブユは約1~5mm程度でかなり小さく、コバエのような見た目の虫。湿度のあるところを好み、3~10月ごろに川辺などに生息します。ハエの仲間ですが、皮膚を噛みちぎって吸血。関東ではブヨ、関西ではブトとも呼ばれます。刺されてしばらくするとかゆくなり、かゆみが長く続きます。 〈アブ〉 アブには数種類がいますが、どれもハエの仲間です。種類によって大きに違いがあり、小さいものは10~15mm、大きいものだと30mmほどもあります。ブユと同じように水辺を好み、早朝や夕方に活発に行動をし、産卵時期になるとメスが口器を使って人や動物の皮膚を噛みちぎり、吸血します。刺されて数時間後から腫れ始め、激しい痛みとかゆみが出ます。痛みとかゆみは時間が経つにつれて激しくなります。 〈ムカデ〉 実はムカデは雑食性で、虫などを好んで食べます。ただ、目が退化していてほぼ見えないため、触覚を頼りに餌を探しています。そのため、動いているものには噛みついて食べようとし、人も噛まれてしまうことがあります。強い力で噛みちぎろうとするため、激痛があり、患部は赤く腫れあがります。 〈ヒル〉 ヒルは体に吸盤をもち、シャクトリムシのような動きで進み、魚や両生類、哺乳類の血液を餌としている生き物。水辺に生息しているイメージがありますが、ヤマビルは落ち葉の下など湿ったところにもいるので注意が必要です。特に雨上がりなどは行動が活発になります。ヒルは吸血する際、血液が固まらないように「ヒルジン」という成分を出します。その成分の働きで噛まれたときにはかゆみや痛みはありませんが、出血がいつまで経っても止まらないことも。時間が経ってからかゆいと痛みを感じ、体質によってはかゆみが1カ月ほど続くこともあるようです。 〈マダニ〉 マダニは林や森、野原に生息し、動物や人を吸血する寄生虫です。体長は2~10mmですが、吸血後は5~20mmにまで膨れあがります。刺されてもかゆみや痛みはほぼなく、噛まれたことに気づかないこともあります。ダニは様々な感染症を媒介するので刺されないように、特に注意が必要です。