アウトドアマーケットプレイスの アウト&バック 、ザ・ローカルズ・セールを買収:耐久消費財分野への参入狙う
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。 アウトドアマーケットプレイスのアウト&バック(Out&Back)は、アウトドア用具企業のザ・ローカルズ・セール(The Locals Sale)を買収し、耐久消費財の商品ラインにも手を広げようとしている。 11月15日から、買い物客はスキー板、スノーボード、ブーツなど、2500点以上の耐久消費財をアウト&バックのプラットフォームで購入できるようになった。アウト&バックの創業者兼CEOであるバラック・ベン・ゼクリー氏は買収の金額を明かしていないが、おもに全額現金での取引であり、買収に伴う再販価値は「数百万ドル」に上ると述べた。ザ・ローカルズ・セール創設者のジェイク・コーン氏も、ウインタースポーツ、ビジネス開発、イベントのディレクターとしてアウト&バックに加わる。 アウト&バックはVFコーポレーション(VF Corp)とディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)の支援を受けており、新品および中古のアウトドア商品に特化しているが、在庫の大部分はジャケットやパーカー、ハイキングやクライミング用のパンツなどの繊維製品だった。同社は昨年からは、耐久消費財のカテゴリーへの拡大を試みていた。ザ・ローカルズ・セールを買収したことで、アウト&バックはより多くの在庫を手に入れ、アウトドア用品のカテゴリーにおける地位を強化することができる。大量の耐久消費財をサイトで売り出したことにより、今年のビジネスは、昨年と比べて10倍から15倍も成長した。 「ザ・ローカルズ・セールはマーケットプレイスで非常に独自の地位にあった。特に最高品質のスキー板やスノーボードなど、ウインターカテゴリーの耐久消費財を推進することでは追随を許さなかった」とゼクリー氏は述べている。
耐久消費財によるビジネス成長に期待
アウト&バックは2019年にコロラドのデンバーに創設され、常に2000~3000のSKU(在庫管理単位)を取り揃えてきた。おもにオンラインで営業しているが、最近ではポップアップ店舗もテスト導入している。ザ・ローカルズ・セールとアウト&バックは、10月にはすでにユタのソルトレークシティと、コロラドのボルダーで、スキーやスノーボード用品のポップアップ店舗を共同で開催した。アウト&バックは、ザ・ノース・フェイス(The North Face)の所有者であるVFコーポレーションやディックススポーティンググッズの社内投資ファンドであるDSGベンチャーズ(DSG Ventures)などの大手小売業者から、非公開の資金資金を受けてきた。 これに対して、ザ・ローカルズ・セールのオンライン店舗は2020年に元プロスキーヤーによって立ち上げられた。新品と中古のスキー・スノーボード用品に加えて、プロのアスリートやブランドのアウトドア用ウェアも販売している。また、ソルトレークシティや、コロラドのボルダーでポップアップイベントも頻繁に主催している。 ゼクリー氏は、耐久消費財カテゴリーによってビジネスが成長することに強気だという。同氏によれば、リコマース分野においては、人々は着る必要のない中古品を買いたがる傾向が強いという。 「リコマースの観点からは、自分の肌から離れたものほど、中古品でもいいと考える人々の割合が増える。世界には多くの中古品のアウターウェアがあり、我々はそのためのチャネルになることができる。これは現在でも依然としてビジネスのもっとも重要部分だ。しかし、耐久消費財にはまだまだ拡大の余地がある」と、ゼクリー氏は述べている。