新潟県三条市の「特命空き家仕事人」が解説 物件の所有者と利用者、両者が幸せになる方法はあるのか
現在増え続けている全国の空き家は社会問題化しています。 2018年に行われた「平成30年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)によると、総住宅数約6241万戸のうち、空き家数は848万9千戸で、2013年の調査と比較すると3.6%増加(29万3千戸増加)、空き家率は13.6%増加で0.1ポイント上昇しています。 アキサポは、空き家を所有者から借り上げて所有者の負担なしにリノベーションし、利用者へ貸し出すという仕組みを作り、首都圏や地方の空き家問題を解決しています。首都圏、地方、それぞれが抱える空き家問題の違いや解決法、新たなビジネスの創生のアイデアと空き家問題とを組み合わせた試みなどについてリポートします。
社会問題化している全国の空き家問題に、独自の方法で取り組むサービス「アキサポ」。空き家を所有者から借り上げてリノベーションし、利用者に貸し出した賃料を所有者に支払い、定期借家契約終了後に所有者に返却する、というビジネスモデルで取り組んでいます。 実際のリノベーションや活用例をもとに、東京、それ以外の地域の空き家活用と地域活性効果についてお伝えしていきます。
東京での「空き家対策特別措置法」の認知率は4割
アキサポを運営するジェクトワンが2021年に行った「東京都空き家所有者に対する意識調査」で明らかになったのは、東京都内の空き家所有者の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の認知率は40.4%、空き家物件を所有する地域の空き家条例の認知率は24.8%と、いずれも5割を下回っているということでした。 アキサポでは、空き家を借り上げてリノベーションを行い、利用者に貸し出して得た賃料から所有者に家賃を支払います。 アキサポの収益は、工事費負担額を考慮した転貸料収入との差額で、初期投資費用を数年間かけて回収します。所有者には初期の改修にかかる負担金は発生しません。 所有者には、定期借家契約の終了後に物件が戻ってくるため、自分で居住するなり、子どもに相続させるなりが可能になります。 画期的なスキームですが、事業立ち上げ当初は空き家活用の新たな仕組みについて認知してもらえず、非常に苦労したといいます。 「アキサポ」の運営に取り組む、ジェクトワンの取締役で空き家アナリストの清水貴仁さんに伺います。