苦しみの中から成長した細谷真大。CFとしてオーバーエイジは招集すべきか?
前線の動きは守備面でも際立ち、素早くボールを回収しながら日本は攻撃を続けた。左右のサイド攻撃と中央からの崩し。パス攻撃とロングボールのバランスも良かった。
そして、28分に待望の先制ゴール。藤田がハーフライン付近からフワッとしたロングボールを送ると、走り込んだ細谷が柔らかいタッチでコントロール。ゴール前まで持ち込んでからターンして、インサイドキックでコースを狙ったシュートを決めた。
相手守備ラインの裏への走りと、正確なボール技術。そして、ゴール前での冷静さ……。まさに、この日の細谷は一級品のストライカーだった。
細谷は、その後も相手ラインとの駆け引きを繰り返し、また前線でのチェイシングも手を抜かず、90分間戦い抜いた。
なお、前半はその後も日本の攻撃が続き、43分には左サイドで大畑歩夢が相手に囲まれながらボールを持ちだし、中央へグラウンダーの速いパスを送る。そのパスを荒木がスルーすると、藤田がワンタッチで走り出していた荒木の前に正確なパスを送り、今大会絶好調の荒木は冷静にゴール右下隅に突き刺した。
後半はイラクが積極的に攻め込んできて何度か危険な場面も作られたものの、好調の両CBやGKの小久保玲央ブライアンの守備で切り抜け、攻撃でも細谷のヘディングシュートがゴールポストに嫌われた場面など、何度か決定機を作った。
こうして、日本は中東最強の一角に返り咲いたイラクに対してシュート数では16本対11本(枠内シュートは10本対3本)と完勝して見せた。
1月のアジアカップでは準々決勝敗退となり、アジア各国に「日本にも勝てる」という気持ちを持たせてしまったが、U-23代表がイラクに続いてウズベキスタンも破って優勝すれば、日本に対するリスペクトの気持ちは再び強くなるだろう。
従って、今大会の決勝戦はA代表も含めてアジアでの今後の戦いにも影響がある重要な戦いとなるだろう。
さて、U-23アジアカップの開催が当初の予定より遅れたことで、パリ・オリンピックの開幕まで3か月もない。チームはオリンピック出場が決まったのだが、選手にとってはメンバー入りの競争がこれから激しくなる。