独立開業する士業はオフィスを持たないと成功できない? (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■独立事務所を持つということは、あくまでも付加要素
自宅兼事務所の場合、多くの人が気にする点は2つあります。 ひとつは打ち合わせの場所です。 「事務所で打ち合わせをさせてください」といわれても、打ち合わせをするスペースがないのですから、やりようがありません。この場合は「ご足労いただくのは恐縮です。御社に伺わせていただきます」と伝えて、お客様の会社に出向いてしまいましょう。私は常にこの方法でお客様の会社やご自宅に伺っていました。この方法は「偉そうでない」「フットワークが軽い」として非常に印象もよいものです。ぜひ採用してみてください。 もうひとつ気になる点としては、お客様に「自宅兼事務所なのですか?」と聞かれたら、どう答えてよいかわからないというものです。 たしかに「まだ売上がないので、しょうがなく自宅で仕事をしているんです」というのは信頼を失う可能性があり答えにくいといえます。しかし、合理的な理由があれば、人は納得するのです。具体的には「人を採用していないので、今は自宅で十分なんです。事務所に来ていただくのも申し訳ないですし、伺うことが多いですから、独立事務所は必要ないですね」というような形で回答します。 ズバリこれは私が使っていた回答なのですが、「若いのにしっかりとした考え方を持っている」といっていただけることが多く、結果として自宅兼事務所であることを褒められることが多かったように思います。ポイントは、経営者として無駄な経費を使いたくないということと「欲しいけど手に入らない」のではなく、あえて「不要である」と堂々とした態度を取ることです。 お客様は自宅兼事務所か独立事務所かの違いを見ているのではなく、あなたが信頼に足りる人かどうかを見ているだけです。あくまで事務所はプラスアルファの要素です。もちろん、最終的に事務所を拡大したいという気持ちがあれば、いつかは事務所を持ちましょう。ただ、最初から自信もないのに無理をする必要はないのです。