『下剋上球児』のキャプテン役、俳優・菅生新樹が決意の坊主を披露「見てくれなんて気にしている場合じゃない」
昨年は日曜劇場『下剋上球児』で実直な野球部のキャプテンを演じ、多くの同世代俳優が出演する中、特別な存在感を放っていた菅生新樹さん。俳優デビューから約2年の若手ながら着々と活躍の場を広げ、5月15日発売の小説『死んだ山田と教室』では主人公役としてプロモーションビデオに参加しており、同作のブックカバーも飾っている。向上心や熱意を隠さず、アグレッシブに新しい挑戦を続ける理由とは――“負けず嫌い”を自覚する24歳に、俳優としての信念や理想像を語ってもらった。 【写真をもっと見る】本気の役作り……俳優・菅生新樹、決意の坊主すがた
複雑な計算をせず、シンプルに演じて斬新な世界観を際立たせる
――俳優として小説のPV(プロモーションビデオ)に参加するのは珍しい経験だったと思います。オファーを受けた瞬間は驚いたのでは? そうですね。最初の感想は「本のPVって……どういうこと!?」でした(笑)。ただ、企画の内容を詳しく聞いてみると、とても光栄な機会だと思いました。今回の『死んだ山田と教室』は2024年度のメフィスト賞を受賞した注目の作品で、そのブックカバーやPVに携われるなんて、誰もができる経験ではないと思います。 ――近年だと『線は、僕を描く』や『法廷遊戯』など、多くのメフィスト賞受賞作が映画化されてきました。菅生さんは普段から小説を読みますか? 正直に言うと、普段はあんまり本を読みません。長い活字に触れるのは俳優として出演する作品の台本を読むときくらいです。だから『死んだ山田と教室』も、最初は文字の多さに圧倒されて読破する自信がなかったのですが、実際は冒頭の数ページで作品の世界観に飲み込まれてしまって。文字を読んでいるというより、登場人物と一緒にリアルタイムで物語を体験しているような感覚で、気づいたら一気に読み終えていました。 ――菅生さんが演じた主人公の山田はクラスの人気者ですが、物語の序盤で交通事故に遭って亡くなってしまいます。しかし、山田の魂が教室のスピーカーに憑依してクラスメイトと会話できるようになる。とても斬新なストーリーですが、PVの撮影ではどんなことを心がけていましたか? 今回のPVは作品の世界観をギュッと凝縮させたショートムービーで、主に導入部分を描くことにフォーカスしています。だから、最終的な結末を踏まえた演技をするのではなく、例えば交通事故に遭う前のシーンはクラスメイトと素直に楽しく遊ぶことに集中しましたし、スピーカーに憑依したあとは山田が戸惑ったように、僕も素直に戸惑っていました。あえて複雑な計算をせず、シンプルに演じたほうが斬新な世界観が際立つと思ったんですよね。