サッカーの2026年ワールドカップ（W杯）北中米3カ国大会のアジア最終予選を戦う日本代表のチーム内序列が固まりつつある。9、10月の4試合をほぼ固定メンバーで戦った意図について、森保一監督は「できるだけ選手を変えず、積み上げたものをいかしたい」と説明する。メンバー固定にはメリットとデメリットがある。結果を気にすることなくチーム力を最大化させる試行錯誤を可能にするためにも、早期のW杯出場権獲得が求められそうだ。 最終予選における日本の基本布陣は3－4－2－1。攻撃時は中盤の両サイドが上がって3－2－4－1気味、守備時は中盤の両サイドとダブルトップ下が下がって5－4－1気味に構える時間帯が長かった。 GK鈴木彩艶（パルマ）、3バックの町田浩樹（サンジロワーズ）、谷口彰悟（シントトロイデン）、板倉滉（ボルシアMG）、ダブルボランチの一角の守田英正（スポルティング）、中盤の両サイドで左の三笘薫（ブライトン）と右の堂安律（フライブルク）、ダルブルトップ下の一角の南野拓実（モナコ）、1トップの上田綺世（フェイエノールト）は全4試合に先発した。 15日のオーストラリア戦は体調不良でメンバー外だった主将でボランチの遠藤航（リバプール）もこのグループに含まれ、事実上、先発で変更があったのはダブルトップ下の一角で、2試合ずつ起用された久保建英（レアル・ソシエダード）と鎌田大地（クリスタルパレス）だけだった。 最終ラインは実力者の冨安健洋（アーセナル）と伊藤洋輝（バイエルン・ミュンヘン）を故障で欠いた。両選手は22年カタールW杯日本代表で森保監督のサッカーを熟知しており、復帰すればレギュラー争いに加わるのは間違いない。ダブルトップ下の一角も、圧倒的な突破力が魅力の久保と巧みなポジショニングや局面を打開するワンタッチパスを武器とする鎌田の争いが続きそうだ。 他のポジションは様相が異なる。GKとダブルボランチ、中盤の両サイド、1トップで序列をひっくり返すのはなかなか難しい。ボランチの田中碧（リーズ）や右サイドの伊東純也、左サイドの中村敬斗（ともにスタッド・ランス）、１トップの小川航基（NECナイメヘン）らは限られた出場時間でも見せ場をつくっているが、攻守に安定感がある先発組の壁は高い。 新戦力が割って入る隙もなかなかない。9、10月の両活動に招集されたDF望月ヘンリー海輝（町田）と、10月の活動に招集されたDF瀬古歩夢（グラスホッパー）、右サイドバックの関根大輝（柏）、ボランチの藤田譲瑠チマ（シントトロイデン）、アタッカーの大橋祐紀（ブラックバーン）らは、出場機会さえ得られなかった。