「お互いに気持ちよく帰るべき」鹿島サポーターのブーイングに怒りぶつけた福岡のブラジル人FWが試合後に謝罪した真意
◆明治安田第34節 鹿島0―0福岡(19日、カシマスタジアム) 試合中に鹿島サポーターへ怒りを表して警告を受けたウェリントンが、試合後に鹿島ゴール裏のサポーターへ謝罪した。 ■鹿島サポーターは拍手「謝罪」するウェリントン【写真】 鹿島サポーターも拍手で応え、話題となった一連の行動について「サッカーはみんなサッカーファミリー。お互いにリスペクトしあうことが非常に大事なことなので」と思いを語った。 前半17分、鹿島のFKを自陣ゴール前で競り合ったウェリントンの顔面と鹿島の関川郁万の頭部が激突。ウェリントンは鼻付近から出血した。激しく地面をたたいて痛がった後、起き上がるとゴール裏の鹿島サポーターに怒りの表情で何かを叫んだ。主審はイエローカードを提示。累積4枚目の警告で、次節11月3日の柏戦は出場停止になった。 引き分けに終わった試合後、ウェリントンは鹿島のゴール裏へ。両手を合わせると、鹿島サポーターから拍手が送られた。 ウェリントンは激突について「サッカーは時にぶつかり、けがをしたり、させてしまったりするスポーツ。関川君と当たったときには自分が(鼻付近を)切って出血してしまったけど、お互いに悪意を持ったプレーではない」と理解を示す。ただ「そのときは鹿島さんのサポーターもチームを勝たせたいという思いで応援しているし、自分もそれに負けじと試合には勝ちたい。お互いに冷静じゃないときに少しジェスチャーをしてしまった」と振り返った。 鹿島サポーターからは激しいブーイングを浴びた。ウェリントンは「きっと鹿島さんのサポーターは何が起きて、どのようにケガをしたか分からなかったと思います。ただ、ジェスチャーをしてしまった以上は、やっぱり試合が終わって冷静になったときに謝って、お互いに気持ちよく帰るべきだと思う。そういう思いで自分のジェスチャーに対してひと言『ごめんなさい』という思いで行きました」と説明した。 関川とはこの激突の直前にもお互い熱くなる場面があった。互いの意地と誇りをぶつけ合って分け合った勝ち点1。ウェリントンは「自分の体が強く、相手選手は強く当たってくる。強さで倒れないとか負けないというのを常に意識している。関川君と健全ないいバトルができた。日本で長くいることでたくさんのバトルを経験していて、きょうもまた一つのバトルだった」と相手DFに敬意を示した。 チームは10勝14分け10敗の勝ち点44で11位のまま。残り4試合で6位FC東京とは勝ち点7差で、目標の6位以内が厳しい状況になっている。ベテランFWは「ここ終盤にかけて自分らしさを取り戻せたとは感じているけど、もう少し早ければもう少し上の順位にいたんじゃないかなって思いもある。そういっても残り4試合。しっかりと自分たちのらしさを出して、最終的に目指すものまでいけたら」とラストスパートを誓った。