「息つく暇も…」石破政権1カ月 少数与党いばらの道 国民民主を完全に取り込めず
石破茂首相は1日、政権発足から1カ月を迎えた。就任早々に打って出た衆院解散・総選挙は与党の過半数割れとなり、自ら設定した勝敗ラインを下回った。続投を選んだが、政権運営はいばらの道だ。 【写真】恩讐超えて?!石破茂首相と麻生太郎最高顧問が2ショット写真 「息つく暇もない1カ月だった。総選挙で示された民意を厳粛に、謙虚に受け止め、丁寧に政権運営にあたっていく」。首相は1日、記者団にそう述べた。 首相は1日に「防災庁」設置準備室の発足式に出席したほか、10月には自衛官の処遇改善も閣僚会議での検討に着手。こうした「石破印」の政策実現を、政権の推進力としたい考えだ。 とはいえ、環境は厳しさを増すばかりだ。衆院選直後には、執行部の「顔」の一人として起用した小泉進次郎氏が選対委員長を辞任。首相や森山裕幹事長を守るためという理屈だったが、政権の求心力低下を印象付けた。「慰留してとどまるようでは小泉進次郎ではないのだろう。進次郎が進次郎たるゆえんはそういうことだろ…」。首相は辞表を受理した後、周辺にそう漏らした。 与党過半数割れを受け、首相は国民民主党との連携を模索。同党が、特別国会の首相指名選挙で立憲民主党に同調しない方針を決めたことで、政権継続の最初の関門は何とかクリアできる算段は立った。 ただ、国民民主との協調は連立や閣外協力ではなく「政策ごとの連携」にとどまった。一方で国民民主は1日、政治改革で立民と連携する方針を幹事長会談で確認した。つまり首相は「政治とカネ」では、結束した野党から攻勢にさらされる公算が大きい。 外交も難しい局面が続く。首相は今月中旬に南米で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに合わせバイデン米大統領や中国の習近平国家主席らと会談する方向で調整している。北朝鮮のウクライナ派兵や核実験準備など、国際情勢がますます緊迫化する中で、首脳外交の成果が問われる。 国内外に課題が山積する中だが、首相は1日、周囲に決意を口にした。「政治とカネに決着をつけ、外交でも結果を出さねばならない」