ヤクルトが黄金時代を迎えることができれば、村上が王さんの記録を超えることも可能だ!【堀内恒夫の悪太郎の遺言状】
王さんの本塁打ペースをはるかに上回る村上
ヤクルトが常勝軍団になれば、村上はさらに光り輝くはずだ
ヤクルトの村上宗隆が、9月13日の巨人戦(神宮)で4回に先発・菅野智之から右翼へ今季54号ソロを放ち、9回には守護神・大勢から左中間へ55号となる3ランをたたき込んだ。巨人の王貞治さんが、1964年に記録したシーズン日本選手最多本塁打に58年ぶりに並んだわけだよ。 当時といまを単純比較することはできないけれど、王さんが55本塁打を記録した当時の公式戦は140試合で、最終戦で55号を放った。村上の55号は、ヤクルトの今季128試合目に記録されている。だから、村上の一打は王さんの本塁打量産ペースをはるかにしのぐ速いスピードで達成したというわけだよ。 年齢を比較しても、村上は22歳7カ月での記録達成だから、王さんの24歳4カ月を上回る最年少記録となった。しかも、王さんが55号を記録したのは入団6年目だけど、村上は1年早い5年目だから、「村神様」などと崇め奉られても、なんら不思議ではない。 王さんが5年目を終えた時点での通算本塁打は、115本だった。村上が今季55号を放った時点での通算本塁打は159本だからね。55本を打った年齢だけでなく、5年目までの量産ペースも、王さんのはるかに上を行く速さだから、まったく末恐ろしい限りだよ。 9月21日現在、村上は55本塁打、132打点、打率.330の驚異的な数字をたたき出して、打撃3部門のトップを走っている。日本プロ野球で18年ぶり、史上最年少の三冠王誕生は、まず間違いないだろうね。 ところで、俺みたいに20年近くプロで投げてきたピッチャーが、現役時代にどれくらい本塁打を打たれていると思う? もちろん、先発、中継ぎ、抑えなどの役割分担によって、打たれた本数は異なるけどね。俺の場合は18年間で、被本塁打は323なんだよ。「被本塁打323」と簡単に言うけれど、打たれたことが、現役を引退して39年たったいまでも、忌まわしい記憶として、俺の脳裏に残されている。 野球には本塁打を打たれやすいピッチャーと、打たれにくいピッチャーがいるんだ。球のキレが良いピッチャーは・・・
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週刊ベースボール