はやぶさ2の状況は? JAXA会見(全文2)「ONE TEAM」を構築できた
大変だったけれどもやり切った
あと、内部では非常に細かいことなんですけれども、必要な安全性・精度を確保するために、事前に計測した地形情報に基づいて、あるセンサー、レーザーセンサーの値をちょっとだますというようなことをやっています。簡単に言うと、ソフトウエアを従来の本当の使い方から違うやり方で使うっていうようなことをやっています。これをやって、これは非常に大きな変更なんですけれども、こういう方針転換をやりつつ、2019年の頭、2月ですけれども、に運用を間に合わせたということは非常にわれわれ、大変だったけれどもやり切ったなというふうに思っています。 具体的には2018年の12月の末ですね。27日っていうと、これもう仕事納めぐらいのときに、もうJAXA側からこういった、だましの方法っていうのを提案したわけですね。それに対してその日のうちにNECさんが即座にこの提案の中身っていうのをそしゃくして、このあとシミュレーションも実施して、翌年の1月7日、もうすぐ、お正月明けにはこれでいけそうだっていうようなことまで実現の可能性を示していただいたということで、1月7日にはこの方針でということで、年末年始にもかかわらず、JAXA、NEC双方で動いて、われわれの1回目のタッチダウンにつながるような方針、大きな方針転換ですけれども対応できたということを、簡単なエピソードですけれどもご紹介差し上げます。
その他の協業実例
津田:14ページ。せっかく私もこの場に出させていただいてるんで、私からのNECさんの協業の実例ということを幾つかご紹介さしていただきます。まず、訓練ですね。この訓練をやった理由というのは、人間も含めて、「はやぶさ2」と共に正しく動かない限り着陸は成功させられない。こういうところで、手順だけを見ると、NECさんが完成させる計画というのは一見、完璧なんです。これは容易に穴は見付からないんですね。われわれもNECさんを凌駕して見つけられるほど、知らない部分も多い。これをあぶり出すには訓練をやるしかないと、そういう考えもありました。 訓練を通じて、やっぱりやってみると、それは理論的にはできるけども人間が付いてこれないとか、そういう類いの改善事項っていうのはたくさん出てきます。そういうことをJAXAから適切にフィードバックできたということも大きいんですが、これでNECさん自らも、その手順書の作り、こうだったら実は人間が付いてこれないとか、こういうことに気付いていただけた。こういううまい協業ができた。訓練を通じて協業ができました。それが1点目。 2点目は、着陸成立性の検討で、さっき佐伯からもあった、タッチダウン1回目です。この最後のだます方式というのでいく前で、われわれ二転三転しておりました。2018年の記者説明会でも幾つか二転三転した説明をしていたかと思います。当初はLRFという低高度での高度センサー、これで凹凸を全部検知して安全性を強化させようという方針を、これでできませんかとNECさんに対しても相談しておりましたが、それでも対処できなさそうだということで、次は複数ターゲットマーカーを使った方式を提案して、またこれもぽしゃって、最後に現行のタッチダウン方式にいったということです。 この半年ぐらいの間で二転三転した、そういうことができたのが、NECさんが臨機応変に、われわれができますかという問い掛けに真摯に対応していただいたということ。それからNECさんからも提案を幾つもいただきました。探査機の制約を厳密に守って、できないことはできない、できることは当初計画になくてもできるということを言っていただいた、フレキシブルな対応がありがたかったと思っています。