【現地ルポ】「死ぬかもしれない」「網戸の半分が大きな虫で埋まり」…「激震地」は横浜と中野! 日本家屋を食い荒らす新型シロアリの「恐ろしき正体」
梁の中から無数の糞が…
「糞は食べる箇所によって色が変わります。黒めの木材なら黒、茶褐色なら茶色。お子さんがいる家だと持って帰ってきた砂汚れだと勘違いしてしまう。ただ、掃除しても掃除してもこの糞は床に転がります。まずこの粒があるかどうかが、自宅にカンザイが潜んでいるかのチェック項目になります。 ルーペで見てみるとより分かりやすいですが、糞は俵型で6本の筋が入っています。これはカンザイが木材の水分を搾り取るための線です」(日本ボレイトのスタッフ) 続いて取材班が入ったのはカンザイの巣穴が連なるとされる屋根裏だ。こちらもカンザイの姿は見えず、木材にも目立った穴はない。しかし、スタッフが梁の一つを軽く押すだけで指がいとも簡単に表面の皮を突き破る。なかから溢れてきたのは無数の糞だ。 「カンザイは木に小さな穴を作り、そこから内部へと侵入します。そこから中の木材を食べていきます。しかし、外敵が入ってこないよう木材に大きな穴は開けず、薄い外の皮を残すように中だけを器用に食べます。なので外から見るだけではカンザイがいるかは分かりませんが、指で押すだけで簡単に突き破ります」 注目すべきは屋根裏内に落ちている数多の羽の残骸だ。
羽を自ら切り離して「侵入」
「これはいずれもカンザイの羽です。カンザイは木材に入り込む際、自らの羽を切り離します。羽が落ちているということはそれだけ木材のなかにカンザイが侵入している証拠です」 そう説明を終えると、スタッフはおもむろに梁にドリルで穴を開け、そこに専用の機材を差し込み、トリガーを引いた。 「通常、梁の内部のどこかにカンザイの巣があります。こうやって専用のホウ酸水溶液を流し込むことで中にいるカンザイを死滅させます。ひどい時には下の梁に注入したのに頭上からホウ酸水溶液が垂れてくることもある。それだけカンザイが縦横無尽に木材を食い荒らしているケースもあります」 カンザイに有効とされるのがホウ酸だ。「高性能な住まいの相談室」を運営する住まいるサポート株式会社代表の高橋彰氏はこう語る。 「カンザイに有効な防蟻処理を施している住宅は現状ではほとんどないので、これから被害は拡大し、深刻になっていくことが懸念されます。カンザイに有効な防蟻はホウ酸を主成分とした液体を木材や屋根裏を含む主要構造部全体に塗布します。従来の合成殺虫剤は5年ほどで効果が切れるうえに子供や幼児のADHD(多動性)の原因物質とされるなどの健康被害引き起こしているとされています。一方で、ホウ酸は無機鉱物を由来とするため長期間効果が持続するうえに健康被害の心配もありません。 万が一カンザイの被害に遭ってしまった場合、駆除にかかる期間は2人体制で一週間程度です。費用は100万円ほどになる恐れがあります。お高いように感じるかもしれませんが、自宅を建てる際には数千万、高い場合は億を超えることだってあります。その100万円を渋って住宅寿命が短くなるほうが住宅資産の損失は明らかに大きい」